ドナ・M・スダック著/貝谷久宣監訳

認知行動療法・薬物療法併用ガイドブック
エビデンスベイスト・アプローチ

A5判 270頁 定価(本体3,800円+税) 2013年9月刊


ISBN978-4-7724-1329-9

 精神疾患の治療において,完治状態を持続させ,より費用対効果の高いアプローチが求められている。治療法の中心として認知行動療法(CBT)と薬物療法,またその併用療法が諸症状に効果的とされているが,適応の判断をするためのエビデンスは十分とはいえない。
 本書では,セラピストと治療薬を処方できる医師との共同治療による併用療法が効果的であるとの立場から,各精神疾患への適応のエビデンスを精査する。リサーチ法の概説と神経生物学的研究についての説明から,共同治療の長所と短所と協力体制の維持の仕方,CBTと薬物療法の統合モデルについて解説する。また,大うつ病,双極性障害,不安障害,統合失調症,摂食障害,境界性パーソナリティ障害,物質乱用・依存といった各種疾患の症例ごとに併用療法の適応を詳説。さらに妊娠・出産・授乳期の併用療法にも触れる。
 本書には,精神医学の薬物療法にも認知行動療法にも長けた人ではないと書くことのできない内容がちりばめられており,臨床の第一線で活躍する医師,心理士,看護師などの医療スタッフの指導書として重宝なガイドブックとなるであろう。とりわけ,各章に記載されている治療者と患者の面接場面は大変有益で実地臨床の参考になるであろう。

おもな目次

序文
監訳者序文
第1章 薬物療法 対 認知行動療法―どうしてこうなったのか?

    併用療法についての研究
    併用療法の効果に影響を与えるメカニズムは何であるか?

第2章 神経生物学的エビデンスと併用療法

    どのように薬物療法と心理療法は脳を変化させるのか
    神経画像:良いこと,悪いこと,そして厄介なこと

第3章 責任共有治療―共同的な患者ケアを促進する原則

    共同的な関係を築く
    責任共有治療の利点
    責任共有治療のモデル
    治療を統合することにより2人の治療提供者間に発生する多くの問題は解決される
    責任共有治療においてみられる問題

第4章 薬物療法のアドヒアランスを向上させるためにCBT介入と薬物療法を統合する

    CBTを薬物療法に併用することでアドヒアランスが向上する事実を示すエビデンス
    アドヒアランスの問題を概念化する
    服薬アドヒアランスを促進するテクニック
    服薬アドヒアランスが問題であるときに使えるテクニック

第5章 大うつ病の併用療法

    概要
    うつ病に対する薬物療法と認知行動療法の併用についてのエビデンス
    抗うつ薬はどのように効果的であるか?
    うつ病に対する併用療法における特別な注意点

第6章 双極性障害の併用療法

    概要
    双極性障害における併用療法実施のエビデンス
    双極性障害の治療
    双極性障害のCBT
    双極性障害の併用療法に特有の論点

第7章 不安障害の併用療法

    概要
    不安障害における責任共有治療を促進する原則
    不安障害における薬物療法と認知行動療法の併用を支持するエビデンス

第8章 摂食障害の併用療法

    概要
    認知行動療法と薬物療法の併用を支持するエビデンス
    摂食障害患者の治療における特殊な問題

第9章 統合失調症の併用療法

    概要
    統合失調症で,CBTと薬物療法の併用療法を支持するエビデンス
    統合失調症の患者に対するCBTアプローチの基礎
    統合失調症患者の治療における特別な問題

第10章 境界性パーソナリティ障害の併用療法

    薬物療法を行うか否か,それが問題だ
    境界性パーソナリティ障害への薬物処方の課題

第11章 妊娠・出産・授乳期における併用療法

    概要
    精神疾患を患う妊婦に対する治療原則
    薬物療法中に妊娠を希望する女性に対する治療アプローチ

第12章 物質乱用と物質依存の併用治療―Samson Gurmu M.D.との共同執筆

    概要
    薬物使用疾患に対する投薬治療のエビデンス
    物質乱用障害における認知行動療法(CBT)と薬物療法による併用療法のエビデンス
    物質乱用と依存に対する併用療法において特に配慮すべき事柄

文献
人名索引
索引

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書評