宇野正威,芸術造形研究所編著

臨床美術
認知症医療と芸術のコラボレーション

A4判 80頁 定価(本体3,500円+税) 2013年11月刊


ISBN978-4-7724-1341-1

 1977年に彫刻家である金子健二は、子どもたちに真の芸術の楽しみ方を伝えるために子ども造形教室を設立し、独創的な美術教育活動を始めました。やがて地域の高齢者も参加するようになり、認知症予防、また認知リハビリテーションとしての「臨床美術」に結実していきます。
 本書では、臨床美術の認知症に対するリハビリテーションの実践、認知症の病態メカニズムに臨床美術がどう関わるかという認知神経科学的考察を述べ、患者さんによる多数の作品の紹介と実際のアートプログラムの進め方とセッション構成を解説しています。
最終章では美術に関連した周辺領域の概念を援用した臨床美術の美学的な位置づけが考察され、科学と芸術双方の理論的なバックボーンを学ぶことができます。
 カラー写真で掲載された患者さんの作品は、どれも個性豊かで生き生きとしており、一目で本書の魅力を感じることができるでしょう。

おもな目次

序文 宇野 正威
第1章 認知リハビリテーションとしての臨床美術 宇野 正威

    はじめに
    T.認知症が発症すると認知機能はどのように低下するか
    U.認知症への働きかけと脳機能の活性化
    V.認知症の人たちの作品と自己表現
    W.美術活動とその場がQOLを高める
    おわりに

第2章 認知症の人たちの作品集 さまざまなアートプログラムから生まれた作品

    1|なすを描く
    2|アジの干物を描く
    3|極楽鳥花を描く
    4|歌舞伎の色の世界
    5|触覚アナログ画
    6|雷屏風
    7|きのこ
    8|シーサー

第3章 臨床美術のプログラムと臨床美術士の役割 芸術造形研究所

    T.臨床美術のアートプログラム
    U.臨床美術のセッション構成――「音のアナログ画(カンボジア音楽)」実施を例に――
    V.臨床美術士のクライアント一人一人への対応
    Column
    臨床美術の歴史
    臨床美術士とは
    臨床美術士の確認定級の位置付け

第4章 臨床美術へのオマージュ 美学の視点から 金田 晉

    はじめに
    T.臨床、「現場に立つこと」
    U.「生きる喜び」を共有すること
    V.生きたオリエンテーション(見当識)とキネステーゼ感覚
    W.「中動態」は芸術の原型
    おわりに――芸術は「言葉」を超えることができるコミュニケーション―― 六角 鬼丈

患者さんのプロフィール