福本 修著

現代クライン派精神分析の臨床
その基礎と展開の探究

A5判 304頁 定価(本体4,200円+税) 2013年11月刊


ISBN978-4-7724-1343-5

 メラニー・クライン,ウィルフレッド・ビオン,そしてドナルド・メルツァーへと連なる現代クライン派精神分析は,精緻な理論考察と着実な臨床報告によって,今日の精神分析的精神療法の礎を築いてきた。その延長線上にある本書では,重要文献の精読,タヴィストック・クリニックでの研修,そして日々の臨床経験を総合して,現代クライン派精神分析の臨床的発展をめぐる基礎考察が展開される。
 第1部「現代クライン派の基本的臨床理解と技法」では,患者の内的世界における治療者のポジション(第1章),逆転移とエディプス状況との連関(第2章),クライン派において稀にしか主題とされなかった「抵抗」概念(第3章),フロイトとは対照的なクライン派による夢解釈(第4章),精神分析における時間論と“Here and Now”論考(第5章)など,精神分析的精神療法の適用症例を素材に、現代クライン派の理解とアプローチを総括的に論じる。第2部「臨床的主題と考察」の前半では,統合失調症,精神病圏,気分障害,パーソナリティ障害,倒錯など,症候に即した精神分析的な理解を論じる。第2部後半では,現代クライン派の枢軸を成すドナルド・メルツァーの理論と臨床を,『精神分析過程』『こころの性愛状態』『閉所』などの主著に即して総覧する。そして第3部「精神医療と精神分析」では,現代クライン派の精神分析的解釈を援用した臨床例について,「行動化」(第1章),境界性パーソナリティ障害(第2・3章)を主題として論じている。
 理論と臨床が交差する“来たるべき精神分析”のための臨床序説。

おもな目次


第1部 現代クライン派の基本的臨床理解と技法

    第1章 クライン派の技法の80年
    第2章 逆転移の経験とワークスルー
    第3章 クライン派から見た抵抗と治療
    第4章 夢の機能と夢解釈の技法
    第5章 精神分析における理解と変化のための時間

第2部 臨床的主題と考察

    第1章 精神分析の動向
    第2章 重度の病態を有する患者の精神療法
    第3章 精神分析から見た統合失調症の精神療法過程
    第4章 気分障害
    第5章 妄想性パーソナリティ障害
    第6章 精神療法と倒錯の問題
    第7章 メルツァーの発展
    第8章 ドナルド・メルツァー『こころの性愛状態』
    第9章 母親の秘密の小部屋の住人たち

第3部 精神医療と精神分析

    第1章 行動化について
    第2章 境界性パーソナリティ障害の臨床
    第3章 パーソナリティ障害と精神分析的精神療法

あとがき