小谷英文著

集団精神療法の進歩
引きこもりからトップリーダーまで

A5判 330頁 定価(4,400+税) 2014年3月刊


ISBN978-4-7724-1356-5

 人の絆を最大の治療要因とする集団精神療法は,医療,教育にとどまらず,組織力,ハイパフォーマーの実力向上に至るまで,その効用を活用する領域が多様にある創造的処方である。
 本書では,精神分析に由来する集団精神療法の理論的基礎と,引きこもり,いじめ,発達障害からパーソナリティ障害,ハイパフォーマーへの臨床実践に基づいた適応の実際を詳説する。
 第Ⅰ部「基礎理論」で集団精神療法の成り立ちから,社会情勢の変遷にともなう技法の発展と,日本人固有の人格構造論,個人精神療法と集団精神療法の交差点について述べ,自我同一性の確立と自己の成熟を追求する第Ⅱ部の「アイデンティティ・グループ」では,青年期のみならず,プロスポーツ選手やトップリーダーへのアプローチが示される。
 第Ⅲ部では,個人精神療法と集団精神療法を組み合わせたコンバインド・セラピィ,治療への導入と動機を促進するためのプレセラピィなどの各種技法が解説され,最終章の第Ⅳ部では,統合失調症や境界性パーソナリティ障害をもったクライエントとの仔細な逐語録による介入の実際が示され,筆者が東日本大震災の発災以来取り組んできたPTSDへの集団精神療法によるアプローチが紹介される。
「誰もが元気になる集団精神療法」を標榜する著者の姿勢から,理論だけでは学べない体験して面白い活力に満ちた集団精神療法に触れることができるであろう。

おもな目次

緒 言
第Ⅰ部 基礎理論

    序 章 集団精神療法に関する大きな誤解
      はじめに
      1.大きな誤解
      2.元気が出る集団精神療法
    第1章 集団精神療法の現在
      1.集団精神療法の到達点
      2.エヴィデンス・ベイストの課題
      結 び
    第2章 日本人の社会システム論的人格構造理論
      1.問 題
      2.目 的
      3.手続き
      4.四つのグループ例
      5.考 察
      6.心理社会システム仮説
      7.結 論
    第3章 個人心理療法と集団精神療法
      1.集団精神療法事態の初動反応
      2.第一次操作反応の可視化に向けて
      3.体験過程の多元並行異方向的展開力動
      4.集団精神療法の中の個人精神療法
      5.個人精神療法の中の集団精神療法
      6.結 論

第Ⅱ部 アイデンティティ・グループ

    第4章 アイデンティティ・グループ基礎
      1.個人の自己実現再覚醒化の課題
      2.再覚醒化グループの構成
      3.アイデンティティ・グループの基本技法
      4.プロセス・ダイナミックスの基本
      5.結論に代えて:可能性と課題
    第5章 集中青年期アイデンティティ・グループ
      1.現代青年期人格発達危機に関する基本仮説
      2.技法仮説と技法構成
      3.グループプロセスとグループ発達
      4.展望と課題
    第6章 ハイパフォーマー・アイデンティティ・グループ
      1.ハイパフォーマーの課題
      2.目的と中核機能の力動
      3.グループプロセスの特異性
      4.技法の特異性
      おわりに

第Ⅲ部 集団精神療法技法

    第7章 精神分析的集団精神療法
      1.理 論
      2.技法基礎
      3.準備技法
      4.展開技法
      5.成果と課題
    第8章 コンバインド・セラピィ
      1.沿革と可能性
      2.原理と技法構造
      3.事 例
      4.展望と課題:現代困難患者の治療展開仮説
    第9章 プレセラピィ集団精神療法
      1.問 題
      2.プレセラピィグループ
      3.プレセラピィグループの実際
      4.SMG(Story Making Group)
      むすび
    第10章 多元統合集団精神療法
      1.伝統と原型
      2.定義と技法
      3.効 用
      むすび

第Ⅳ部 人格機能水準と集団精神療法

    第11章 統合失調症者の集団精神療法
      1.統合失調症者のための精神力動的集団精神療法の成り立ち
      2.治療機序の可視化
      3.集団精神療法の始め方
      4.集団精神療法の展開の仕方
      おわりに
    第12章 パーソナリティ障害の集団精神療法
      1.始め方
      2.展開の仕方
      3.治療的力動
      4.括り方
      むすび
    第13章 神経症性障害の集団精神療法
      1.集団精神療法の基本展開パターン
      2.治療機序とグループ抵抗
      3.神経症水準集団精神療法の治療機序
    第14章 大災害トラウマ/PTSD対応集団精神療法
      1.大災害における心の衝撃の行方
      2.衝撃が隠される理由
      3.災害後復興過程における集団心理支援の基本
      4.サポートグループ東北モデル
      5.大災害トラウマ/PTSDへの対処と集団精神療法
    終 章 集団精神療法のあした
      1.進歩と較差
      2.技法伝達の問題
      3.集団精神療法の技法伝達の課題

力動的集団精神療法の基礎をしっかりとしたものにするために
推薦基本図書
あとがき