東 斉彰,加藤 敬,前田泰宏編著

統合・折衷的心理療法の実践
見立て・治療関係・介入と技法

A5判 190頁 定価(3,000円+税) 2014年4月刊


ISBN978-4-7724-1364-0

 心理療法は,歴史の中で学派ごとにその理論と技法を進化させてきた。しかし,いつの時代もセラピストは学派や理論のためにではなく,クライエントの福祉のために仕事をしなければならない。統合・折衷的心理療法は,かかる心理療法への現実的・実践的要請の中で模索されてきた潮流である。
 時間的・空間的なクライエント理解から二つ以上の心理療法の理論を複合し,多元的に活用する理論複合(統合)アプローチ。クライエントとのあらゆる接触を技法とみなし,整合的で多次元的なアセスメントからクライエントに最適の技法選択を導き出す技法折衷アプローチ。治療外要因やクライエントの枠組みを最重要視することで,セラピーに共通する治療要因の効果を最大化する共通要因アプローチ。
 本書ではこの三つの統合・折衷アプローチによる「見立て」,「治療関係」の構築,「介入と技法」の実際を通して,セラピストを目の前のクライエントにとってより確実で有用なリソースへと彫琢するための指針を示す。
 現場のリアリズムに立脚したこの実践は,わが国の心理臨床の土壌に,統合・折衷の流れをよりリーズナブルで真にクライエント中心的な形で導入していくためのガイドラインとなるであろう。

おもな目次

序章 統合・折衷的心理療法とは◎東 斉彰
第I部 見立て

    第1章|心理療法における見立て◎加藤 敬
    第2章|クライエントと共に作る見立て―理論複合の立場から◎加藤 敬
    第3章|的確な介入を導く見立て―技法折衷の立場から◎東 斉彰
    第4章|クライエントの可能性を広げる見立て―共通要因の立場から◎前田泰宏
    コメント|理論的折衷と技法的折衷―臨床家一人に一つの折衷理論◎古宮 昇

第II部 治療関係

    第1章|心理療法における治療関係◎東 斉彰
    第2章|治療関係の構築と治療抵抗への対処―理論複合の立場から◎加藤 敬
    第3章|技法適用における治療関係の重要性―技法折衷の立場から◎東 斉彰
    第4章|効果的な治療関係の構築―共通要因の立場から◎前田泰宏
    コメント|あなたはこのクライエントにどの技法を提案するか◎倉光 修

第III部 介入と技法

    第1章|よりよい援助プロセスと実効性を目指して◎前田泰宏
    第2章|治療に有効な介入技法の使用―理論複合の立場から 加藤 敬
    第3章|技法介入の役割と機能―技法折衷の立場から◎東 斉彰
    第4章|クライエントの役に立つ介入技法の選択―共通要因の立場から◎内田由可里
    コメント|技法の選択にあらわれる折衷的・統合的心理療法のスピリット◎杉原保史

終章|学派の壁を乗り越える―統合・折衷的心理療法の要点と今後の展望◎前田泰宏