Handbook of PTSD: Science and Practice


マシュー・J・フリードマン,テレンス・M・キーン,パトリシア・A・レシック編/金 吉晴監訳

PTSDハンドブック
科学と実践

B5判 550頁 定価(本体12,000円+税) 2014年5月刊


ISBN978-4-7724-1367-1

 近代精神医学の黎明期以降,トラウマという現象は常に重要な主題であり続けたが,PTSDという形で診断が精緻化されたことは比較的新しく,したがって診断境界,家族集積性,リスク要因,治療反応性,生物学的背景,心理的モデルなどについて不明な点が多かった。 それらの問題を明確化し,解決への探究を進めるべく,本書ではPTSDをめぐる様々な科学的,臨床的,文化的なテーマを扱っている。 PTSDの歴史と主要な批判と論争の紹介をはじめとして,ミクロなレベルでは遺伝子と環境の相互作用や神経回路,神経生物学的なメカニズム,マクロレベルでは疫学研究,文化横断的研究,パブリックヘルスについての情報の伝え方,その中間にある心理学的モデル,記憶,解離,ジェンダー,発達,そして診断と治療に関する多くの臨床的アプローチの解説に触れることにより,PTSDの概念的な広がり,臨床実践における方法論,実務的な問題についての理解を深めることができるであろう。
 本書は,PTSDが初めて米国精神医学会のDSM-Vに登場した1980年以来,これまで積み重ねられてきたあらゆる進歩を書きとめ,この分野の代表的なテーマを解説した包括的な参考書であり,日々,トラウマの臨床や研究に従事しているすべての人々とって,最良の信頼できるガイドである。

おもな目次

第Ⅰ部 歴史的概観

    第1章 PTSD─25年間の進歩と課題─
    第2章 精神医学におけるトラウマの歴史
    第3章 PTSDの心理学史

第Ⅱ部 科学的基盤と理論的展望

    第4章 PTSDの心理学的理論
    第5章 トラウマとPTSDの疫学
    第6章 PTSDのリスク経路─先行研究の理解─
    第7章 想起と忘却
    第8章 トラウマに誘発された解離
    第9章 PTSDの神経回路と神経可塑性
    第10章 PTSDに関連する神経生物学的変化
    第11章 遺伝子−環境相関─PTSDに関する双生児研究と遺伝子研究─
    第12章 外傷後ストレス障害におけるジェンダーの問題
    第13章 子どものトラウマ的ストレスの頻度とその衝撃
    第14章 高齢者のトラウマ

第Ⅲ部 臨床実践─臨床技法とエビデンス─

    第15章 成人におけるPTSDと併存疾患の評価
    第16章 トラウマへの早期介入
    第17章 PTSDの心理社会的治療
    第18章 PTSDの子どもへの心理社会的アプローチ
    第19章 PTSDに対する薬物療法
    第20章 トラウマへの暴露と身体健康
    第21章 文化とトラウマ

第Ⅳ部 未踏の領域

    第22章 PTSDと法
    第23章 PTSDの新しい治療
    第24章 リスク,脆弱性,ストレス抵抗性,そしてレジリエンス
    第25章 災害および集団暴力後のパブリック・メンタルヘルス的介入
    第26章 今後の研究のための鍵となる問いと課題