廣井いずみ著

非行少年の立ち直り支援
「自己疎外・家庭内疎外」と「社会的排除」からの回復

A5判 200頁 定価(本体3,400円+税) 2015年6月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1429-6

 非行要因は,犯罪に繋がるような気質面や発達の遅れ,価値観など本人の要因に加え,家族との関わり,本人が受けてきたしつけ,教育など,家族や社会という多様な側面から捉えられる。
 本書は,三十余年にわたって家庭裁判所調査官として少年事件に関わってきた著者による,非行少年の立ち直り支援への有益な提言である。非行少年の抱く疎外感情とそれを生み出す社会からの排除,そして社会は何故非行少年の受入れに難色を示すのか,著者はこの二つの視点から,少年・家族と社会の関係性の欠如を考察し,「人を組み入れた立ち直り支援モデル」を提唱する。
 臨床心理士,精神科医,家庭裁判所調査官ら,非行臨床に携わる対人援助職にとって有益な実践指導書となろう。

おもな目次

序章 本研究の目的・論文の構成・用語の定義

  • 問題の所在と研究の目的
  • 本研究で使用する用語の定義

第Ⅰ部 社会の中での立ち直り支援に関する現状の司法・矯正システムにおける課題

  • 第1章 少年の側から見た現状の司法・矯正システムの課題
  • データ提示
  • 内容分析
  • 考察
  • 第2章 社会の側から見た現状の司法・矯正システムの課題
  • 公的なデータに見られる人々の非行観
  • 非行少年に対する類型的捉え方と排除感情
  • 都市化社会と非行少年に対する深層部分での排除意識
  • 排除型社会における非行少年の捉え方
  • 排除型社会と司法・矯正システムの課題

第Ⅱ部 自己疎外・家庭内疎外と社会的排除の連鎖による非行化過程の理解

  • 第3章 青年期における自己疎外と非行─「居場所という視点からの非行事例理解」
  • 親からの分離過程と疎外
  • 「居場所」─非行理解から立ち直り支援へ─
  • 事例提示
  • 事例理解
  • 考察
  • 第4章 家庭内疎外としてのネグレクトと非行─成育史的視点から─
  • 非行の背景因としてのネグレクト
  • 事例提示
  • 事例理解
  • 考察
  • 第5章 自己疎外・家庭内疎外と社会的排除による非行化の過程
  • 本章の目的
  • 調査Ⅰ
  • 調査Ⅱ
  • 考察

第V部 社会の中での立ち直り支援とは

  • 第6章 個人療法的視点からの立ち直り支援
  • A事例からの検討
  • B事例からの検討
  • 第7章 非行の親支援
  • 本章の目的
  • 調査方法
  • 調査結果
  • 考察
  • 非行の親支援の専門家としてできることと本研究の課題
  • 終章 非行少年の立ち直り支援
  • 少年の視点に立つ統合型立ち直り支援の必要性
  • 統合型立ち直り支援の鍵概念
  • 支援の三概念から導かれる立ち直り支援のあり方─処遇終了後の先へとつなぐ支援

あとがき