鈴木 茂著/生田 孝編集

自己愛性人格/解離性障害/躁うつ病の拡散
精神医学における症例記述の復権のために

A5判 320頁 定価(本体5,800円+税) 2015年7月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1433-3

 木村敏,中井久夫に師事し,境界性パーソナリティ障害と寡症状性統合失調症の研究をはじめ,自己愛性パーソナリティ障害,躁うつ病,解離性障害の臨床精神病理学についての卓越した論文や,名著『境界事象と精神医学』(岩波書店)でも知られる鈴木茂の第三論文集。
 緻密な思考によって構成化され,魅力的な独自の見解が随所に見られる精神病理学論文と,DSM-V以降の現在の操作的な臨床への疑義から「症例記述の復権」を目指して構想した論考15編と木村敏の序言を収める。臨床家の立場から新たな時代への精神病理学の可能性を探り,時代による精神疾患の病像変化を読み解くための画期的な試み。

おもな目次

序文―鈴木茂君の霊前に/木村 敏
Ⅰ 解離規制や外傷記憶がパーソナリティ特性と化した症例

  • 1.解離をどう理解しどう治療するか
  • 2.解離現象・解離性障害への懐疑
  • 3.青年期の外傷的記憶を想起する境界例成人に対する形式操作的アプローチ
  • 4.PTSD概念の整理・再検討

Ⅱ 発達過程・病の体験・環境との関わりから形成される特異なパーソナリティの症例

  • 5.子どもの強迫症状と統合失調症
  • 6.人格からみた病の意味
  • 7.パーソナリティ概念の生活史的・環境的基礎
  • 8.セキュリティ・システムとしての家族変貌する家族

Ⅲ パーソナリティに問題のある(躁)うつ病の症例

  • 9.職場に見られるパーソナリティ障害@−躁うつ病に関連したパーソナリティ障害について
  • 10.職場に見られるパーソナリティ障害A−境界性・自己愛性パーソナリティ障害と解離性障害について

Ⅳ 精神医学の若干の概念

  • 11.精神病理学的に内因をどうとらえるのか
  • 12.臨床的方法としてみた記述と了解概念―Karl Jaspers批判
  • 13.幻覚の記述現象学
  • 14.境界性パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害―時代による精神疾患の病像変化

Ⅴ 絶筆と追悼

  • 15.精神病理学は精神療法に寄与しうるか?―境界例との関わりを通して
  • 16.追悼・鈴木茂先生/生田 孝

あとがき