下地明友著

<病い>のスペクトル
精神医学と人類学の遭遇

A5判 368頁 定価(本体5,800円+税) 2015年10月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1454-8

 人々の声がポリフォニックに共鳴し、身体と身体が接続し、新たな物語が生まれては消える臨床のリアリティは、たえず新しい概念を創発しなければ追跡することができない。精神医学概念の普遍妥当性への疑義、文化精神医学における多元的身体性、沖縄の医介輔とスピリチュアリティ、水俣病とソーシャルサファリング、精神科臨床と老い、そして回復の可能性としてのレジリアンスへ。たったひとつの真実も解もない、そのたびごとに謎が謎を呼ぶ臨床というフィールドの多元性を素描する、精神医学と人類学の邂逅から生まれたラディカルな思考。

おもな目次

はじめに 身体と経験の人類学─場所論的転回、人類史論的転回、生命論的臨床誌
序論 ためらいの普遍性─精神医学概念はあらゆる社会において普遍妥当性をもつのか
第1部 文化精神医学─多元的身体性と「場」

  • 1 文化と伝統療法
  • 2 多元性・多声性・身体性
  • 3 風土的視点と精神科臨床─「臨床場」の問題
  • 4 文化精神医学と風土・民族・宗教

第2部  スピリチュアリティ─沖縄戦と「魂」

  • 5 宗教性と臨床性─多元性とケアの現実
  • 6 沖縄の医介輔の歴史と語り

第3部  ソーシャル・サファリング─水俣と「傷」

  • 7 ソーシャル・サファリング
  • 8 「水俣病」研究の方法論再考─医学的思考の新たなパラダイム転換

第4部  関係性の詩学─精神科臨床と「老い」

  • 9 「世に棲む老い人」の臨床人類学─〈関係性の詩学〉の人類学に向けて
  • 10 風土と老人観─医療人類学的視点から

第5部  レジリアンス─傷から回復へ

  • 11 レジリアンス・病い・文化─レジリアンスの医療人類学
  • 12 精神医療における「リカバリー」を再考する

おわりに