Are You Okay?: A Practical Guide to Helping Young Victims of Crime

ピート・ウォリス著/野坂祐子,大岡由佳監訳

犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド
子どもと関わるすべての大人のために

A5判 270頁 定価(本体3,600円+税) 2016年2月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1469-2

 日本の犯罪被害児・者に対する支援対策は,諸外国に比べて著しく遅れており,重視されるようになったのは90年代後半になってからでした。近年,「児童虐待」に関する取り組みは重点的におこなわれるようになったものの,本書で紹介されているような子どもが遭遇するいじめ,ヘイトクライム,強盗,器物破損,集団暴行,性暴力,死にそうになる体験などについては,被害後の具体的なケアは手探り状態といえるでしょう。
 本書は,子どもが被害にあう可能性がある幅広い犯罪とその影響について概観し,被害を受けた子どもが示しやすい一般的なサインと支援の留意点について,わかりやすくまとめられています。
 特徴として,子どもに焦点を当てて,いじめや子ども同士の性暴力など,日本ではまだ「子ども同士のトラブル」とみなされやすいことがらを「犯罪」の枠組みでとらえ,それらの「犯罪」に対して大人が関与できる方法を具体的に示しています。また,子どもの犯罪においては,しばしば「被害者」と「加害者」に明確ではありませんが,どちらの側の子どもも支援することで,将来的な非行や犯罪を防ぎ,安心・安全な社会をつくることにつながるという姿勢が貫かれている点が挙げられるでしょう。
 子どもの犯罪被害は身近な生活のなかでたくさん起きているにもかかわらず,子どもがだれにも打ち明けられず,潜在化している被害があります。起きているかもしれない子どもの犯罪被害を見つけだし,手を差し伸べる方法が本書で紹介されています。

おもな目次

日本語版への序文:岩切昌宏
はじめに
背景
本書の読者層
本書の使い方
子どもに着目する理由
本書の活用によるメリット
ほかの行動計画に合わせる
用語についての付記
鍵となる概念:〈身を守る行動〉と修復的アプローチ
〈身を守る行動〉
修復的取り組み
結論
トラウマ体験のある子どものサポートのしかた

第T部 「なにが起こったんだろう?」―犯罪とそれによる影響

  • 第1章
  • 犯罪とは
  • 暴力
  • いじめとハラスメント
  • ネットいじめ
  • ヘイトクライム
  • “名誉”の犯罪
  • 誘拐と不法監禁
  • 交際相手からの暴力
  • 身体的,性的,心理的虐待とネグレクト(児童虐待)
  • 強盗・窃盗・器物損壊
  • 過激な集団暴行
  • ほかの子どもや年長児からの性暴力
  • 第2章
  • 間接的被害者あるいは「隠れた傷つき」
  • 盗難
  • 器物破損や犯罪による損害
  • 死または死にそうになる体験
  • 殺人と過失致死
  • 家庭内の暴力
  • まとめ
  • 第3章
  • 犯罪の影響を理解してサインを認識すること
  • 子どもの犯罪経験
  • 子どもへの犯罪の影響
  • 回復
  • 被害と正常な10代の発達
  • 犯罪被害を受けた子どもの親/養育者の反応
  • パワフルな被害者
  • 暗黙のルール

第U部 「あなたはひとりじゃない」―支援のためのさまざまな手立て

  • 第4章
  • 問題として取り上げ,うまく反応すること
  • 問題として取り上げること
  • うまく反応すること
  • ヒントとコツ
  • 自分のニーズを大切にする
  • 第5章
  • アセスメント,守秘義務,通告
  • アセスメント
  • だれにやられたのか子どもが話そうとしなかったら?
  • 子どもが話したがらなかったら?
  • 事件を犯罪として警察に通報する

第V部 「これからどうなるの?」―修復的取り組み

  • 第6章
  • 修復的アプローチ
  • 修復的アプローチってなんだろう?
  • だれが修復的アプローチを実施するのか?
  • 修復的ミーティングではなにをするのか?
  • 修復的アプローチには,どのようなメリットがあるのか?
  • 第7章
  • 加害と被害の重なり
  • どんなサポートができるか
  • 第8章
  • 新たな一歩のために
  • 子ども自身の回復のために
  • 支援者ができること
  • 支援機関ができること
  • おわりに

訳者あとがき:野坂祐子 大岡由佳
付録
犯罪被害者等支援の社会資源一覧
青少年のための共通アセスメント枠組み(CAF)