松本俊彦著

薬物依存臨床の焦点

A5判 184頁 定価(本体2,800円+税) 2016年7月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1496-8

 わが国では、戦後長きに亘って覚せい剤の乱用問題が続いてきた。薬物乱用は,若者たちの人生に多くの有害な影響を及ぼす。これまでの治療なき取り締まりは,わが国における覚せい剤取締法事犯者の高い再犯率もたらしてきた。薬物依存症は,「治らない病気」であり,薬物依存から回復するために必要なのは,罰ではなく,治療である。
 本書は,米国マトリックス・モデルを基に,薬物・アルコール依存症克服のための基本プログラム〈SMARPP〉を開発した著者が,治療の最前線から,薬物依存症を援助するにあたっての現実的な対応の指針を臨床研究の成果をもとに示したものである。医療・保健機関の援助者・治療スタッフのために,有益な知見が網羅された,今まさに求められる乱用防止のための方向性を探る試みである。

おもな目次

第1章 専門家のいらない薬物依存治療―ワークブックを用いた治療プログラム「SMARPP」
第2章 覚せい剤乱用受刑者に対する自習ワークブックとグループワークを用いた薬物再乱用防止プログラムの介入効果
第3章 アルコール・薬物依存症と摂食障害との併存例をめぐって
第4章 薬物依存と発達障害―薬物依存臨床における注意欠如・多動性障害傾向をもつ成人の特徴
第5章 物質使用障害患者における自殺の危険因子とその性差―年齢,乱用物質の種類,およびうつ病との関連
第6章 物質使用障害の診断をめぐって―なぜDSM-5では「乱用」「依存」は消えてしまったのか?
第7章 危険ドラッグ乱用患者の臨床的特徴─全国の精神科医療機関における実態調査から
第8章 精神科救急における向精神薬関連障害─危機介入と予防を中心に
第9章 「幻のドラッグ」―フェンサイクリジン(phencyclidine)関連障害の文献的検討
第10章 薬物依存症臨床における倫理―医療スタッフ向け法的行動指針
第11章 妊娠中における精神作用物質の使用
第12章 物質使用障害とアデイクションの精神病理学―「自己治療仮説」の観点から
第13章 物質依存症当事者の求助行動促進
第14章 トラウマという視点から見えてくるもの
第15章 「ダメ,ゼッタイ」ではダメ―平成21年度内閣府インターネット調査から見えてきた,薬物乱用防止教育のあり方