渡辺久子著

新訂増補 母子臨床と世代間伝達

A5判 288頁 定価(本体3,400円+税) 2016年9月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1511-8

 ……人は生まれ育つ時代や家族を選ぶことはできない。生きることはどの人にとっても大変なことである。最新の乳幼児精神保健研究は,ものいわぬ乳幼児が,周囲の大人同士の関係性に,驚くほど鋭いアンテナをはることを明らかにしている。またむずかってばかりの扱いにくい時期は,脳が急に発達する時期でもある。母がひとりで育児を背負うのでなく,母に父が寄り添い,家族と地域社会が全体で暖かく包むべきであろう。本書が,少しでも現代の子育てに悩むお母さんたちや母子臨床に携わる臨床心理士,カウンセラー,精神科医,小児科医,看護師,等の方々のお役に立つことができればと願っている。(本書「序文」より)
 「子育てでは,親自身が知らぬ間におし殺してきた記憶が子どもに伝わる」子どもたちの心の相談の場では,親の苦悩が子から孫へと伝達するケースにしばしばで会うことがある。そして,母性とは,生命あるものを,ありのままの存在として慈しみ,育む姿勢をいう。
 本書は,「世代間伝達」という母子臨床における重要概念を確立した名著の増補決定版である。母子関係の臨床にかかわる,臨床心理士,精神科医,小児科医,看護師,精神保健福祉士等すべての対人援助職に。

おもな目次

はじめに―古今東西の世代間伝達―
■序  編

  • 社会の変容と子どもの心
  • 心の芽生えと親子関係
  • 世代間伝達の精神病理
  • 少子化時代の精神療法

■第T部 乳幼児精神医学

  • 愛着と周産期
  • 関係性の障害と乳幼児
  • 乳幼児心性とライフサイクル
  • 乳幼児の精神障害の診断と分類
  • 乳幼児期の神経症的障害
  • 食と心の原点としての授乳体験
  • 乳幼児期のfeedingと摂食障害

■第U部 母子臨床の実践

  • 照らしあう母子の関係
  • 世代間伝達の治療構造論―─親−乳幼児治療
  • 親−乳幼児治療の実際:理論と技法
  • 摂食障害と世代間伝達
  • 子どもの心身症
  • 児童虐待と世代間伝達─―連鎖を断ち切るために
  • 臨床心理・精神医学的観点からの児童虐待への対応について
  • 子どもを亡くした家族への援助
  • 発達することの不安と喜び(1)―─心の誕生への旅
  • 発達することの不安と喜び(2)─―固着と退行
  • 発達することの不安と喜び(3)─―心の発達への援助
  • 母と子を守る
  • いのちのまなびや――小児病棟
  • 私の子育て論

あとがきに代えて――無名の親たちから教えられるもの

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