Psychoanalytic Perspectives on the Rorschach

ポール・M・ラーナー著/溝口純二,菊池道子監訳

新装版 ロールシャッハ法と精神分析的視点

A5判 498頁 定価(本体6,000円+税) 2016年10月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1521-7

 本書は,ロールシャッハ法の理論と実際における最新の臨床成果を網羅した大冊であり,メニンガー・クリニックに学んだ著者がRapaportの影響を受け,ロールシャッハ法と精神分析の関係を追究したものであるが,また,ロールシャッハ査定と解釈において,現在普及しつつあるエクスナーによる実証的アプローチと精神分析的アプローチの統合を目指したものでもある。
 ロールシャッハ法は,陽性症状や陰性症状だけでなく,人間関係が崩壊しやすい性向を査定するのに非常に役立つ。またロールシャッハ法の施行は,解釈のために一連の知識を検査反応に応用するだけのものではない。それは臨床的に査定する方法であり,個人,心的現象,関係性について考える方法であり,そうした方法に対する態度も含むものである。
 「臨床基礎編」の主題は,精神分析的見方をロールシャッハ法にどのように適用するかという臨床的実際的側面におかれている。施行法,スコアリング,内容分析と継列分析,解釈過程についてのマニュアルとしての構成とともにロールシャッハ法への精神分析的アプローチの入門編という面を備えている。そして,臨床現場で常に検査者を悩ます,測定主義か臨床主義かのテストに対する基本態度や,治療と査定の相互関係,テストの客観性と検査者の主観の問題など,読者にとって重要な臨床課題が数多く詳述された内容となっている。
 「臨床研究編」では上巻の基礎的記述を受け,さらに現場で役立つ情報として,防衛,解離,境界例,自己愛,治療効果など近年臨床において重要な事柄が取りあげられている。精神分析的視点という意味で,Rapaport直系という著者の立場からの考察に加え,Mayman,Schafer,Beck,Klopfer,Piotrowskiらの諸説も紹介し,また多くのロールシャッハ法尺度についても解説が加えられている。さらに著者は自らの精神分析的立場を重要視するだけでなく,特にExnerの包括的システムとの統合を視野に入れたアプローチをも模索している。読者にとっては,ロールシャッハ法に関する臨床に役立つ便利な辞書としての性質も持っていると言えるだろう。

おもな目次

第1章 体験的精神分析的アプローチ
第2章 ロールシャッハ課題の性質
第3章 心理検査レポート
第4章 精神分析的診断図式
第5章 ロールシャッハ査定枠
第6章 施行とスコアリング
第7章 患者―検査者関係
第8章 主要スコア:ロールシャッハ法の諸次元
第9章 5番目のスコアリング・カテゴリー
第10章 特定のスコアとその意味
第11章 内容分析
第12章 継列分析
第13章 解釈の二つのアプローチ
第14章 推論過程
第15章 ロールシャッハ査定と治療計画
第16章 対象表象のロールシャッハ査定
第17章 防衛のロールシャッハ査定:1.伝統的尺度
第18章 防衛のロールシャッハ査定:2.現代の測定尺度
第19章 解離:理論的考察と査定
第20章 発達的対象関係
第21章 Rapaportの逸脱言語表現と研究
第22章 境界例概念とロールシャッハ・テスト
第23章 境界例概念の亜型とロールシャッハ・テスト
第24章 自己愛と自己愛患者のロールシャッハ尺度
第25章 ロールシャッハ法と治療効果の査定
第26章 ロールシャッハ・アプローチの統合に向けて