Traite des hallucinations

アンリ・エー著/宮本忠雄,小見山実監訳/影山任佐,阿部隆明訳

幻覚X
器質・力動論2

A5判 600頁 定価(本体8,500円+税) 2017年3月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1532-3

 エー最大の業績である「器質・力動論(L'organo-dynamisme)」という壮大な精神医学理論大系の全貌が前巻に続いて展開されている。本書によって,ジャクソン,ジャネ,フロイト,ブロイラー,ミンコフスキを継承し,サルトルやメルロ-ポンティ,フッサールやハイデガーらの実存主義を経てビンスワンガーの現象学的精神病理学を昇華し,現代精神医学へと繋がる緻密な理論構造を辿ることができる。
 後半部には監訳者影山による精密な解題「アンリ・エーを読む」(500枚にわたる,難解であるエー理論を読み解くための,良質で明快な入門編)を付与した。

おもな目次

幻覚現象の陰性的条件(幻覚因的過程)

  • A 幻覚性障害の陰性面に関する「ジャクソン」のモデル
  • B 幻覚を原基的陰性障害の陽性効果であるとする器質・力動論の歴史
  •  エスキロールからバイヤルジェまで
  •  モロー(・ド・ツール)
  •  J・P・ファルレ
  •  ピエール・ジャネ
  •   1 現実への適応行動、現実機能
  •   2 幻覚群
  •   3 被害妄想における感情の病理
  •    ドイツ構造主義学派
  •    現象学
  • C 意識存在ないし精神・感覚的道具の組織解体が幻覚を生み出す
  • D デリール性(精神病性)幻覚群の発生過程
  •  1 幻覚性精神病群全体に対する過程の概念の有効性の立証
  •   精神病群における睡眠と夢に関する脳波の研究
  •    T せん妄性精神病群の研究
  •     (a)時間的変動
  •     (b)睡眠の心的内容
  •    U 逆説睡眠の断眠実験
  •    V せん妄性精神病者の睡眠と夢に関する研究の一般的結論
  •      2 意識存在の幻覚因性組織解体の二つの様態(「身体・精神病的」過程からヤスパースの「精神的」過程へ)
  •      3 慢性妄想性精神病群への過程に関するヤスパース理論の応用
  •      「もっぱら」幻覚的形式をもつ妄想病群における幻覚因性過程の問題
  •      5 統合失調症性幻覚因過程
  •  E 知覚野の解体、幻覚症性エイドリー群の必要不可欠な条件
  •   T 幻覚惹起性興奮の考えとは一致しない知覚分析器の組織化
  •    1 神経興奮概念の批判
  •    2 刺激作用に還元できない知覚系の力動
  •     A 刺激。知覚活動における情報と心像
  •     B 知覚系の双極性
  •    3 知覚野の解体理論による、電気的刺激あるいは病変性興奮という諸事実の解釈
  •     U エイドリーの病態発生
  •      1 ファンテイドリーの病態発生―情報流の遮断と逆転
  •       A 発作性ファンテイドリー(情報の発作的遮断)
  •       F 幻覚群に関する器質・力動論の一般的意義

幻覚群の治療

  • 序  論
  • 鍵概念一覧表
  • T 理性の二律背反
  •  1 客体と主体
  •  2 「他者」と自我
  •  3 無意識と意識
  •  4 象徴界と抽象的思考
  •  5 想像界と現実界
  •  6 表出と創造
  •  7 自動症と意志
  • U 以上の概念の一貫しない採用によって生じている矛盾した諸立場
  • V 心的身体の組織化とその解体という弁証法的解決
  • W 精神医学的問題のための推論

用語集(フランス語、外国語、曖昧な用語、廃語ないし造語)


エーを読む 蘇るアンリ・エー―器質・力動論の現代的意義と展望―影山任佐
はじめに
第一部 エーの生涯

  • 第一章 生地と家庭
  • 第二章 医学生、精神科医パリ時代
  • 第三章 ボンヌヴァル院長時代
  • 第四章 晩年
  • エピローグ

第二部 器質・力動論

  • 第一章 エーの器質・力動論の変遷
  •  はじめに
  •  第一節 エー以前の器質・力動論(古器質・力動論)
  •  第二節 エーのプレ・ジャクソン時代(一九二六―一九三五)の彼の器質・力動論的考想
  •  第三節 器質・力動論の誕生―新ジャクソン主義―
  •   前期
  •   中期
  •   後期
  • 第二章 器質・力動論とは何か
  •  はじめに
  •  第一節 Organo-dynamismeの用語、概念について
  •  第二節 「考想」、「モデル」、「理論」、「作業仮説」について
  •  第三節 器質・力動論のテーゼ(定言)
  •  第四節 器質・力動論の疾病論的、歴史的位置づけ―弁証法、多元的、反疾病単位論、疾患形態論、階層構造論―
  • 第三章 器質・力動論への批判
  •  はじめに
  •  第一節 古典的、伝統的批判
  •  第二節 臨床的批判
  •  第三節 最近の内在的批判
  •  第四節 その他
  • 第四章 器質・力動論がもたらしたもの
  • 第五章 器質・力動論の展開
  •  第一節 エーと精神医学史
  •  第二節 エーと犯罪精神医学
  •  第三節 器質・力動論の影響、評価
  •   第一項 諸外国での器質・力動論の影響、評価
  •   第二項 脳科学とエーの思想と理論モデル

第三部 エーの「デリール」と「デリール性幻覚群」をめぐって

  • はじめに
  • 第一項 フランス精神医学の伝統における「デリール」
  • 第二項 エーの器質・力動論における「デリール」

おわりに
謝  辞

資料1 古典紹介と解説ファルレの古器質・力動論

  • 古典紹介 影山任佐(訳)―精神諸疾患と精神病者保護院―臨床講義と一般的考察
  • 序論
  • ファルレ JP Des maladies mentales et des asiles d’alienes Lecon cliniques & considerations generales : Baillere, Paris, 1864. 解説 影山任佐

資料2 エー H : Eugenブロイラーの考想(一九四〇)影山任佐(訳)
資料3 ヒューリングス・ジャクソンの諸原理からオイゲン・ブロイラーの精神病理学へ(一九四六)影山任佐(訳)
資料4 『心理学事典』(一九八〇、一九八三)におけるエーの器質・力動論?影山任佐(訳)

関連書