Les infrastructures du trouble mental

ピエール・マルシェ著/藤元登四郎訳

精神障害の下部構造
精神医学的思考様式の革新

A5判 272頁 定価(本体6,000円+税) 2017年5月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1549-1

 本書は,現代フランス最大の精神医学者の一人,ピエール・マルシェの集大成とも言うべき代表作の全訳である。マルシェ独得の情報科学的構成主義に基づく人工思考システム・モデルが提唱され,さまざまな精神障害が具体的な症例を挙げて解説されている。人工知能(AI)が注目されている現在,さらに一歩進んだ人工思考(PA)の概念もまた視野に入ってくるであろう。旧来フランス人は独創的であると言われているが,本書もその一つであり,今後大きな影響を,精神医学ばかりではなく他の分野にも与えるであろう。
 訳者藤元は,フランス・サルペトリエール病院に留学し,伝統的神経精神医学を研究した。現在,フランスのアンリ・エー研究の専門誌,LES CAHIERS HENRI EYのComite scientifique(学術委員),Annales medico psychologiquesのComite de lecture international(国際審査委員)である。一方,日本SF作家クラブ会員でもあり,第6回日本SF評論賞の選考委員特別賞(2011)を受賞した。『〈物語る脳〉の世界』(寿郎社,2015)は第37回日本SF大賞の候補作になるという経歴の持ち主である。巻末には,〈ピエール・マルシェ・ワールドへの招待〉とも言うべき詳細な解題が読者に用意されている。

おもな目次

序文/東京大学名誉教授 加藤進昌
日本版のための序文/ピエール・マルシェ
■第T部 精神医学における認識の流れのまとめ

  • 精神医学におけるパラダイムの転換
  • 新しいパラダイムに向けて
  • パラダイムはどのように転換するのか?

■第U部 思考と言語

  • 第1章 操作思考―直感と理性の関係―
  •  直感的アプローチ
  •  合理的方法
  •  反対関係論理
  • 第2章 言語とその結びつき
  •  運動と音素
  •  言語活動の発達
  •  形成された言語の多様な側面
  • 第3章 精神病理学における思考と言語の役割
  •  思考と言語のそれぞれの役割
  •  言語,精神機能障害の表現
  •  言語,精神機能不全の要因

■第V部 精神障害の下部構造の表象

  • 第1章 精神システムの建築学的構造
  •  精神病理学的着想に基づいた局所論
  •  論理数学的考え方に基づいた局所論
  •  前トポロジー空間
  • 第2章 精神的流れのネットワーク
  •  精神システムの構造化
  •  ネットワークのエネルギーの変動
  •  ニューロン基質の力動
  • 第3章 集合論的表象
  •  システマル法的アプローチ
  •  モデルの種類
  •  集合論的アプローチの特徴
  • 第4章 圏論的表象
  •  方法論的特性
  •  精神病理学への適用
  •  精神医学のさまざまな流れへの延長
  • 第5章 構成主義的情報科学的表象(アラン・カルドンとの共著で)人工思考システムの構成性の想起
  •  システムの活動と制御
  •  アトラクター,制御装置,エネルギー分岐の絡み合った作用
  •  臨床における類推的互換
  •  精神病理学的モデルの実現
  •  ニューロンモデルとのつながり
  • 第6章 電磁互換性(オリビエ・モーリスの参加を得て)
  •  現代のいくつかの研究について
  •  臨床的現象の進行との類似性
  •  精神医学における電磁気学的仮定
  • 第7章 さまざまな表象の統合
  •  表象を細分化する
  •  不変要素による臨床的形式化
  •  未来の分析の展望
  •  総括

訳者のあとがき
解題

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