若佐美奈子著

心理療法における無意識的空想
セラピストの妊娠に焦点を当てて

A5判 244頁 定価(本体4,200円+税) 2017年11月刊


 
 

ISBN978-4-7724-1587-3

 本書は、クライエントの無意識的空想にセラピストの人生上の変化が及ぼす影響について考察したもので、特にセラピストの妊娠・出産の影響に焦点を当てている。
 わが国の臨床心理士の7割は女性で、なおかつ20代30代がその半数を占めている。にもかかわらず、セラピストの妊娠に関する議論は臨床心理学の俎上に乗り始めたところにすぎない。
 本書では、セラピストの妊娠時、セラピストが自身の心身の変化を丁寧に吟味し、クライエントの無意識的空想の変容や、治療関係における呼応について検討する視点について精神分析理論および臨床事例を用いて論じている。そして、セラピストの妊娠に特有のダイナミクス、セラピストが妊娠を治療に生かすための条件を提示している。」

おもな目次

推薦の辞:松木邦裕

序章 問題提起と本書の構成

  • 1 はじめに
  • 2 問題提起
  • 3 本書の目的と構成

第1章 無意識的空想と転移について

  • 1 無意識的空想および転移の定義と歴史的背景
  • 2 セラピストがクライエントの無意識的空想に及ぼす影響

第2章 セラピストの妊娠に関連する先行研究

  • 1 セラピストの妊娠に関する調査研究・インタビュー研究
  • 2 セラピストの妊娠がクライエントの無意識に及ぼす影響―日本の事例研究から
  • 3 セラピストの妊娠がクライエントの無意識に及ぼす影響―海外の事例研究から
  • 4 セラピストの妊娠がセラピストに及ぼす影響
  • 5 先行研究のまとめと課題

第3章 セラピストの妊娠をめぐる無意識的空想の諸相

  • 1 子どもは母親の妊娠をどう体験するのか―Freud, S.の探求
  • 2 母親の胎内に関する空想―Kleinの探求
  • 3 早期エディプス状況における結合両親像
  • 4 倒錯と侵入的同一化,そして閉所
  • 5 生と性について考えること
  • 6 三角空間で考えるということ

第4章 事例研究―セラピストの妊娠とクライエントの無意識的空想をつなげる

  • 1 略奪婚空想,結合両親像からの迫害,そして哀しみ(事例A)
  • 2 胎内にいる赤ん坊空想とクライエントの水子(事例B)
  • 3 事例の再考察

第5章 事例研究―セラピストの妊娠を契機に変化した治療プロセス

  • 1 エナクトメントとアクティング・イン
  • 2 からっぽのこころに瑞々しさを取り戻させた嫉妬(事例C)
  • 3 セラピストの子宮に入ることを望んだ女性(事例D)

終 章 妊娠したセラピストが心理療法を行うことの可能性と課題

  • 1 匿名性の意義を再考する
  • 2 セラピストの妊娠を治療に活かすための条件
  • 3 「人生の事実」と心理療法
  • 4 今後の課題
  • 5 おわりに

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