清水將之 著

私説 児童精神医学史
子どもの未来に希望はあるか

A5判 180頁 定価(本体3,800円+税) 2018年3月刊



ISBN978-4-7724-1610-8

 著者は,50年以上に及ぶ臨床経験をもつ,わが国に於ける児童精神医学の泰斗である。その臨床姿勢は,現場で子どもの生活をまるごと援助することに一貫しており,わが国最初の精神科思春期外来を開設したことでも知られる。
 本書の中心をなす論考「私説 児童精神医学史」は,内外の文献を渉猟し,自らの臨床体験と結びつけることで,改めて歴史を辿るという行為の大切さを説いている。また,自らも阪神・淡路大震災を経験した立場から,子どもと災害について論及した章は説得力に満ちたものである。
 「子ども観」は時代とともにさまざまに移ろい,不登校やひきこもり,発達障碍という枠組みも社会変容に沿って新たに捉え直されなければならない。清水は,「〈病気・症状・障害〉に視点を限局させてはならぬ」と繰り返し指摘し,「子どもの暮らしをまるごと視野に入れることが臨床家に求められている」と強調してきた。そのような臨床態度を,著者は〈子ども臨床〉という表現へ集約させてきたのである。

おもな目次

□第一部 子どもの未来を考える

  • 第一章 子どものこれから,日本では
  •  子どもという存在
  •  子どもの捉え方,経年変化
  •  子どもが少なくなったこと
  •  学校精神保健
  •  「子ども臨床」という表現に行きつくまで
  • 第二章 不登校の歴史
  • 第三章 子どもと災害
  •  私の出逢った災害
  •  一九九五年という経験
  •  阪神・淡路大震災を経験した後に
  •  三・一一という『想定内』の激甚災害
  •  災害と学校
  •  カタストロフィの捉え方

□第二部 歴史という座標軸で子どもを考える

  • 第四章 私説 児童精神医学史
  •  歴史を辿るという行為の意味
  •  子どもの精神医学は、いつ、誰が始めたのか
  •  児童精神医学の前史として捉えておく必要がある《子どもへの関心》
  •  旧大陸におけるエエミングハウスの前後
  •  新大陸の動き
  •  日本における前史
  •  対象年齢の拡大
  •  本邦における児童精神医学・医療の今後
  • 第五章 子ども観と文化の移り行き
  •  子どもの描き方,その時代変遷
  •  一六世紀より前の時代
  •  土の中に眠っていた子どもの姿
  • 第六章 子ども史略年表
  •  跋に代えて

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