市川宏伸 編著

発達障害の早期発見と支援へつなげるアプローチ

A5判 200頁 定価(本体2,800円+税) 2018年4月刊



ISBN978-4-7724-1618-4

 “発達障害”という言葉は知られるようになっても,その本質が適切に知られているとは言えない。
その特性が理解されないことにより,家庭では育てにくさから「何を考えているか分からない」「可愛くない」子どもと虐待を受けたり,学校では先生の指示が理解できず,「反抗している子ども」と誤解され,注意・叱責され,その意味が理解できず,ますます叱られるうちに,その症状が顕在化,悪化したりすることもある。そのうち,自己評価が低下し,自分の存在感が持てなくなり,心理的に追い込まれることもある。それらは,「からかい」「いじめ」「不登校」「ひきこもり」などにつながることもある。
 また,職場では,嫌と言えないため,無理な仕事を引き受けたり,同僚や上司との人間関係で悩み,退社を余儀なくされる場合もある。こうした発達障害を抱えた人たちを支援するためには,障害の早期発見と正しい理解が必要になる。
 本書では,発達障害児・者の支援に必要な発達障害の最近の知見と近接領域に関わる状況を,第一線で活躍する執筆者が提示する。

おもな目次

はじめに 市川宏伸

第1章 最近の発達障害概念 市川宏伸

  • T 発達障害とは何か
  • U 発達障害支援の経過
  • V 発達障害と医療
  • W 発達障害をどうとらえるか
  • X 発達障害の特徴

第2章 発達障害と精神疾患 広沢正孝

  • T ASDと統合失調症との異同―発達障害と精神障害との交錯の歴史
  • U 発達障害と他の精神障害との合併の問題

第3章 発達障害の早期支援 本田秀夫

  • T 早期支援の対象
  • U 早期発見
  • V 早期支援の基本的な考え方
  • W 親支援
  • X 早期支援の場とシステム

第4章 発達障害のアセスメント 神尾陽子

  • T 発達障害のカテゴリー分類
  • U 発達障害の連続的評価
  • V 発達的観点からみた発達障害アセスメント
  • W 今後の課題

第5章 発達障害と療育 内山登紀夫

  • T 発達障害の支援における療育,精神療法,教育の位置づけ

第6章 発達障害と教育 柘植雅義

  • T 発達障害の教育を巡る経緯
  • U 発達障害の教育における認知と理解
  • V 発達障害の教育的対応の制度
  • W 発達障害の教育的対応の実際
  • X 発達障害の教育的対応の課題
  • Y インクルーシブ教育システム構築の時代の中で

第7章 発達障害と就労 小川 浩

  • T 発達障害者の就労状況
  • U 多様な就労形態と障害者雇用
  • V 就労支援のプロセス
  • W 現場で生じる問題とその支援

第8章 発達障害と虐待・ひきこもり 田中 哲

  • T 人の精神発達の基本構造
  • U 発達課題・発達過程と自立
  • V 養育環境と発達過程の個別性
  • W 精神発達の不均衡としての発達障害
  • X 養育者としての統合と養育環境
  • Y 被虐待体験ないし不適切養育体験
  • Z 自立の困難とひきこもり
  • [ 発達に対する支援の視点

第9章 発達障害者支援の行政(厚生労働省の施策を中心に)に関する動き 日詰正文

  • T 法・制度上の位置づけ
  • U 発達障害の広がり
  • V 発達障害施策の展開

第10章 発達障害と司法 桝屋二郎

  • T 発達障害と反社会的行動の疫学的知見
  • U 発達障害者に反社会的行動が生じる背景
  • V 発達障害は反社会的行動のリスクファクターか?
  • W 触法発達障害者の矯正や支援

第11章 発達障害と家族支援 井上雅彦

  • T 家族における支援ニーズの理解
  • U ライフステージによる家族支援ニーズの変化と支援
  • V 家族支援の連携

第12章 成人期の発達障害―ASDの最近の研究と臨床報告について 金井智恵子・加藤進昌

  • T 臨床上の成人ASDの患者
  • U ASDの診断および評価
  • V ASDの診断・評価方法
  • W ASDの臨床統計
  • X ASDの神経心理学
  • Y 夫婦関係に焦点を当てたASD夫婦の支援