Culture, Health and Illness, Fifth edition

セシル・G・ヘルマン著/辻内琢也,牛山美穂,鈴木勝己,濱 雄亮監訳

ヘルマン医療人類学 文化・健康・病い

B5判 520頁 定価(本体12,000円+税) 2018年5月刊



推薦


江口重幸――本書(原題『文化・健康・病い』第5版)は,単独の著者が改訂を重ね,「臨床に応用される医療人類学」とは何かについて論じたライフワークである。医療人類学とは,医療に人間科学的視点を添えるだけのものではない。それは臨床や治療そのものを豊かに変容させる実践的な身体技法でもある。この領域の必携書であると同時に,最先端の医療と伝統的視点との併存がなぜ重要なのかを問う,著者と訳者たちの思いが溢れた画期的著作である。

波平恵美子――本書はこれまで和訳された医療人類学の教科書としては最も充実したものである。それは,1984年の初版以来5版に至る20余年のなかで,著者が次々と新たな医療と文化に関するテーマを加えてきたことによる。その結果,医療人類学を学ぶにあたり考えつく限りのテーマが網羅されている。加えて,取り上げられている数多くのエスノグラフィックなデータが医療人類学的思考の道筋を提示し,そのことがまた教科書としての価値を高めている。

中村安秀――医療は文化である。国際保健医療協力の現場では,医療者ではなく,医療を受ける人の文化を尊重しなければならない。日本においても,在住外国人や訪日外国人の増加により,文化や宗教に向き合い医療を行う時代が到来した。持続可能な開発目標(SDGs)の理念「だれひとり取り残さない」をめざして,名著『ヘルマン医療人類学』を小脇に抱えて,国内外の国際保健フィールドに赴くことのできる幸せ。悪くない時代だ!

ISBN978-4-7724-1624-5

 今日ほど健康と病いへの,そして医療への文化的・社会的要因の影響が注目される時代はない。文化人類学研究と医科学的研究の統合として発展してきた医療人類学は,グローバル化する現代社会において医療従事者に求められる「文化を理解し対処する能力」の基盤である。
 『ヘルマン医療人類学』は,「健康・病い・医療・文化」にかかわるあらゆる領域をカバーし,人類学の理論と世界各地の膨大な事例研究が平易な記述でまとめられ,1984年の初版刊行以来,世界40か国以上の総合大学・医科大学・看護大学で教科書として使用されてきた。本書第5版では医療と文化をめぐる現代的な課題,すなわちゲノミクス,遠隔医療,移住や移民,HIV/エイズ,肥満と栄養失調,新しい医療技術の発展に関する章が加わり,まさにグローバルスタンダードとして完成された。
 セシル・G・ヘルマンのライフワークであり,一貫した視点から「医療人類学」の広大なフィールドを見渡す本書は,あらゆる臨床における患者理解の手引きとして,また現代の医療と文化・社会を考えるための重厚な入り口として参照されるべき大著である。

序(セシル・G・ヘルマン)
監訳者による序(辻内琢也)
第1章 医療人類学の視座
第2章 身体―解剖学と生理学の文化的説明
第3章 食習慣と栄養
第4章 ケアと治療―さまざまなヘルスケアセクター
第5章 医師−患者の相互関係
第6章 ジェンダーと生殖
第7章 痛みと文化
第8章 文化と薬理学―医薬品・ドラッグ・アルコール・タバコ
第9章 儀礼―人間は不幸をどのように解決するのか
第10章 異文化間精神医学
第11章 ストレスと苦悩の文化的要素
第12章 移住・グローバリゼーション・健康
第13章 遠隔医療―テレメディスンとインターネット
第14章 新しい身体・新しい自己―遺伝学とバイオテクノロジー
第15章 疫学における文化的要因
第16章 エイズの世界的流行
第17章 熱帯病―マラリアとハンセン病
第18章 医療人類学とグローバルヘルス
第19章 医療人類学における新しい研究方法

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