Shrinks : The Untold Story of Psychiatry

ジェフリー・A・リーバーマン著/宮本聖也監訳/柳沢圭子訳

シュリンクス
誰も語らなかった精神医学の真実

A5判 280頁 定価(本体2,800円+税) 2018年8月刊



ISBN978-4-7724-1639-9

なぜ精神医学はかくも強烈な疑念や批判にさらされ、「医学の異端児」とされてきたのか?――

 動物磁気を提唱したフランツ・メスマーの空想的理論、昏睡療法やロボトミーなど無謀な治療法、ジークムント・フロイト派の創設と決裂、脳科学研究を開拓したエリック・カンデルによるフロイト派の王位奪還、伝統あるドイツ精神医学のアメリカの精神科医への影響など、神秘的疑似科学として誕生した精神医学が生命を救済する科学=職業として成熟していく足跡をたどる。精神医学に名を残す英雄と偉大な詐欺師の錯綜した物語(ストーリー)、精神医学の光と影を成す歴史秘話(ヒストリー)、精神力動的パラダイム(心の学問)と生物学的パラダイム(脳の科学)との抜き差しならない葛藤と相克、そして1980年の刊行とともに精神医学のパラダイムを一新した『DSM-III』特別委員会委員長ロバート・スピッツァーの行動と思惟が、膨大な文献と個人的体験を交えながら、一般の読者にも読みやすいトーンで語られていく。
 だが本書の目的は精神医学のダークストーリーをスキャンダラスに語ることではない。「精神疾患とは何か?」「いかにして精神疾患を診断・治療するのか?」と絶えず真摯に問い、精神疾患を「不幸な心の状態」ではなく「治癒されるべき病い」として描き、精神医学と精神疾患への偏見とスティグマを晴らす使命こそが、本書が見つめる最終目的だ。

 アメリカ精神医学会(APA)会長にして全米科学アカデミー医学研究所会員の碩学ジェフリー・A・リーバーマンによる、誰も語らなかった/誰も語れなかった精神医学の真実。

おもな目次

第I部 診断をめぐる物語

  • 01.医学界ののけ者――メスメリスト、エイリアニスト、精神分析家
  • 02.迷走の時代へ――シュリンクの台頭
  • 03.精神疾患とは何か?――診断名のるつぼ
  • 04.レンブランツ、ゴヤ、ゴッホを破り捨てる――精神医学を救った反フロイト派

第II部 治療の物語

  • 05.苦肉の策――発熱療法、昏睡療法、ロボトミー
  • 06.母さんの小さな助っ人――待望の薬の登場

第III部 生まれ変わった精神医学

  • 07.孤立から脱して――脳革命
  • 08.兵士の心臓――心的外傷の謎
  • 09.多元主義の勝利――DSM-5
  • 10.汚名の終焉――精神医学の未来