山崎 透著

不登校支援の手引き
児童精神科の立場から

A5判 168頁 定価(本体2,800円+税) 2019年1月刊




ISBN978-4-7724-1658-0

「不登校」という現象は,子どもの表れの多様化と,その変化に柔軟に対応できない教育システム,家庭の支持機能の低下などを背景にして,近年さらに複雑になっている。
不登校の診たてに操作的診断(ICD, DSM)が役に立つことは稀であり,支援についても,有用なガイドラインやアルゴリズムが存在しているとは言い難い状況にある。したがって,個々のケースを適切に診たて,支援していく際には,治療者がこれまで培ってきた臨床力が問われることになる。筆者は,「先人の教えや自らの経験を積み重ねて,『常識的な診たてや支援方法』を身につけ,それを骨格にしながら,個々のケースは『応用問題』として柔軟に対応していくことを心掛けている」と述べている。
本書は,児童精神科臨床を主なフィールドとし,子どもの支援を実践してきた筆者が,自身の臨床経験をベースに,子どもや保護者への具体的な言葉のかけ方などをふんだんに盛り込んだ,不登校支援の集大成とも言える一冊である。医療現場のみならず,相談機関や学校など,さまざまな場で不登校の子どもたちを支援する方たちの役に立ってくれるであろう。
付章として,児童精神科臨床における初回面接の要点がまとめられている。言うまでもなく,初回面接は,その後の治療の展開を大きく左右する極めて重要なセッションである。多くの臨床家に参考にしていただきたい。

おもな目次

序章

  • T はじめに
  • U 不登校臨床の醍醐味と難しさ
  • V 不登校臨床についての雑感
  • W おわりに

第1章 不登校の診たて・諸段階・長期経過

  • T 不登校の診たて
  • U 不登校の諸段階
  • V 不登校の長期経過

第2章 支援の要点

  • T 再登校の大変さを,周囲の大人に理解してもらう
  • U 支援の目標が再登校ではないことを,周囲の大人に理解してもらう
  • V 子どもの自主性を育てる
  • W 不登校に伴う身体症状に適切に対応する
  • X その時々の子どもの心理状態を観察する
  • Y それぞれの子どもに合った,支援やステップアップの方法を柔軟に設定する
  • Z 子どもの心が揺れやすい時期,動きやすい時期を知っておく
  • [ 利用できる社会資源や中学卒業後の進路先について,情報を把握し適切な助言をする
  • \ 再登校した時,子どもは過剰反応を示しがちであることを理解する

第3章 初回面接の要点

  • T 子どもの初回面接
  • U 保護者との初回面接の要点
  • V 合同面接の要点
  • W 初診後の支援計画の作成

第4章 学校との連携

  • T 不登校支援における学校との連携の難しさ
  • U 教師という職業の特徴と,学校のシステムを理解する
  • V 学校との連携の実際

第5章 初診以後の子どもとの面接

  • T 総論
  • U ひきこもりの時期の面接
  • V 外界との交流の再開へ
  • W 本格的な社会参加へ

第6章 初診以後の保護者面接

  • T 保護者支援の要点
  • U 保護者面接での具体的なやり取り

第7章 発達障がい児の不登校支援―自閉スペクトラム症を中心に

  • T はじめに
  • U ASD児の不登校のリスク
  • V ASD児の不登校の特徴
  • W 支援の原則―通常学級の場合
  • X おわりに

第8章 入院治療

  • T 児童精神科病棟における入院治療とは
  • U 入院治療への導入を考慮する時
  • V 入院治療にスムーズに導入するには
  • W うまく導入できたら
  • X 入院治療による支援を実践してきて

付章 児童精神科臨床における初回面接の要点

  • T はじめに
  • U 初回面接の意義と目的
  • V 面接における治療者の姿勢
  • W 初回面接までの下ごしらえ
  • X 時間についての構造化
  • Y 初回面接で聴取すべき事柄
  • Z 診たておよび今後の方針についてのについての説明
  • [ 筆者の実践している初回面接の手順について

あとがき

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