池田暁史・相田信男・藤山直樹

精神分析になじむ
狩野力八郎著作集1

A5判 304頁 定価(本体5,400円+税) 2018年12月刊



ISBN978-4-7724-1672-6

 「精神分析という方法は,議論を絶やすことなくつねにオープンなシステムとして機能し続けるような仕掛けを内包している生きたシステムだ。」
 「……精神分析が解明しなければならない問題はまだまだ山程あるということである。非常に根源的なことでは,われわれが精神療法を行う際,当然のこととして依拠している考え,つまり“人が人に心的影響を与え得る”ということについて,それがどんな過程でどのようにしてかということはまだ解明され尽くしていないのである。……」
 「なぜフロイトをかくも熱心に繰り返し読むのかというと,フロイトがどのように考えているのか,何をしているのかを,考えるために読むのである。そこから読み取れるのは,絶対に正しい解釈などというものはないという懐疑主義と自己分析を貫き通している姿勢である。……」
(本文より)
 本書は狩野が生前に発表し,その後,書籍にまとめられることがないままになっていた各種論考を集めたものである。狩野は精神分析にとってごく当然とされる種々の営みに改めて「形」を与えることで,精神分析そのものに触れようとし続けた。精神分析を大切だと思う方に一読を勧めたい。

おもな目次

はじめに(藤山直樹)

第T部 精神分析的思考

  •  第1章 気分障害の精神分析―無能力感と境界形成をめぐって―
  •  第2章 情緒障害のいくつかの形態およびそれらの分裂病との関係(翻訳)
  •  第3章 ヒステリーを読む
  •  第4章 私の精神分析的パーソナリティ臨床―疾患分類批判―
  •  第5章 精神分析の生成論について―「フロイト派」の立場から―
  •  第6章 創造的対話―森田療法と精神分析―

第U部 治療構造と倫理

  •  第1章 治療構造をどのように作るか
  •  第2章 構造化すること(structuring)
  •  第3章 入院治療とはなにか―投影同一視の認識と治療の構造化―
  •  第4章 精神分析的に倫理を考える
  •  第5章 論文を書くことと倫理規定を守ることとのジレンマ
  •  第6章 治療構造論,システム論そして精神分析

第V部 精神分析を読む―本,人,そして組織―

  •  第1章 書評『精神分析学の新しい動向』
  •  第2章 書評『小児医学から精神分析へ』
  •  第3章 書評『実践・精神分析的精神療法―個人療法そして集団療法』
  •  第4章 書評『解釈を越えて―サイコセラピーにおける治療的変化プロセス』
  •  第5章 小此木啓吾先生―精神分析をすること―
  •  第6章 私はフロイディアンか?
  •  第7章 下坂幸三先生のご冥福を祈る
  •  第8章 書評『フロイト再読』
  •  第9章 力動精神医学と土居の仕事
  •  第10章 「精神分析研究」50周年記念特集増刊号刊行にのぞんで
  •  第11章 日本精神分析協会と日本精神分析学会―共存の歴史とその行末―

解題(池田暁史)

 著作リスト

関連書