窪田由紀・森田美弥子・氏家達夫監修/河野荘子・金子一史・清河幸子編

こころの危機への心理学的アプローチ
個人・コミュニティ・社会の観点から

A5判 228頁 定価(本体3,200円+税) 2019年6月刊




ISBN978-4-7724-1702-0

 すべての現代人は,危機から無関係ではいられない。
 自然災害に限らず,慢性的な病,人間関係上のトラブル,事故など,知らぬ間に巻き込まれ,意図せずにこころの危機に直面することは数知れない。生きていく基盤ともいえる大切な何かを失いかけた時,人のこころは危機に見舞われる。
 本書は,そのこころの危機に個人,コミュニティ,社会レベルから,心理学がこれまで貢献してきたこと・できなかったこと・今後できること・すべきことについて論じ,予期せぬ“こころの危機”に遭遇した際に,それを可能な範囲で冷静に受けとめ,何某かの糧を見出していくために,役立つ情報を心理学から発信できることを目ざす。
 「第1章」では,危機理論に始まるこころの危機の研究史を振り返り,危機支援のありかたと近年の研究動向について検討し,近年注目されるようになってきたレジリエンスと外傷後成長に関する研究を紹介し,続く「第1部 個人の危機とこころ」では,個人の中で起こる危機に,人はどう立ち向かい,再適応するのか,精神疾患・障害,学生相談,犯罪被害者,非行少年の観点から論じる。「第2部 コミュニティの危機とこころ」では,コミュニティの中で起こる危機に,人はどう立ち向かい,変化してしまったコミュニティに再適応するのか,学校・家族・対人関係(いじめやハラスメント)の視点から論じ,「第3部 社会の危機とこころ」では,社会の中で起こる危機に,人はどう立ち向かい,変化してしまった社会で生きることをどう選ぶのか,原子力災害,自然災害,デロの観点から論じる。

おもな目次

はじめに 窪田由紀
第1章 こころの危機とは 金子一史
第1部 個人の危機とこころ
第2章 精神科に見られる心理的危機―自らの病に向き合う― 森田美弥子
第3章 学生相談に見られる心理的危機―自らの不適応感に向き合う― 渡邉素子
第4章 犯罪被害者の心理的危機―自らの被害体験に向き合う― 坪井裕子
第5章 非行少年の心理的危機―自らの罪を悔いることの難しさ― 河野荘子
第2部 コミュニティの危機とこころ
第6章 学校の危機と心理学的支援 窪田由紀
第7章 家族で発生する心理的危機―虐待と親子関係の修復― 千賀則史
第8章 対人関係で発生する心理的危機T―いじめの発生と修復― 小倉正義
第9章 対人関係で発生する心理的危機U―ハラスメントの発生と修復― 葛 文綺
第3部 社会の危機とこころ
第10章 原子力災害と心理 氏家達夫
第11章 東北地方太平洋沖地震による心理的危機 狐塚貴博
第12章 テロによる心理的危機―テロ対策と社会的ネットワーク― 五十嵐 祐
第13章 心理学はこころの危機に対して何ができるのか 清河幸子
おわりに 森田美弥子