吾妻 壮著

精神分析の諸相
多様性の臨床に向かって

A5判 200頁 定価(本体3,600円+税) 2019年11月刊




ISBN978-4-7724-1731-0

精神分析は最も長い伝統と実績を持つセラピーの方法である。しかし、伝統を重んじつつも、今日、精神分析は多様化の一途を辿っている。現代精神分析は、一方で、依然としてフロイトを筆頭とする創成期のパイオニアたちの仕事と強く結ばれているが、他方、近年の分析家たちによる革新的な貢献なしにはもはや語り得ない。多様化あるいは多元化は、現代精神分析を語る上でのキー概念である。

……
しかし、精神分析を志す者にとって、多様性という言葉の響きのよさに満足してしまうことはむしろ危険なことである。精神分析において、多様性を許容するということは、言うは易しくとも、行うは実に難しいことである。実際面から言っても、精神分析の多様性について学ぼうとすることは、量的な負荷のみならず、質的な負荷を強いる。また、内的には、一つ一つの精神分析概念について複数の観点から再考し続けることにより、確信は失われ、迷いはむしろ増える。多様性を許容するということは、決して楽な道ではない。
(「はじめに」より)

今日,精神分析のあり方は多様化の一途を辿っているが,その傾向は米国において顕著であると言える。その理由として,米国が世界最多の精神分析家を擁する国であること,さらに精神分析の伝統が深々と根を下ろしていることが挙げられる。本書では,精神分析をめぐる最新の議論を米国の動きに注目しながら紹介しつつ、今後の臨床への応用についても展望していく。

おもな目次

はじめに
第1部 精神分析理論の新しい地平

  • 第1章 関係性理論の発展:新しい地平と批判
  • 第2章 精神分析の多様化とセラピー・プロセス
  • 第3章 解釈と関係性:無意識的プロセスと知覚的体験をめぐって
  • 第4章 逆転移概念の変遷について
  • 第5章 現代米国精神分析とウィニコット

第2部 臨床的ディスカッション

  • 第6章 スティーヴン・ミッチェルの症例にみる精神分析技法論
  • 第7章 治療者の主観性について
  • 第8章 心的外傷と時間:遅刻を繰り返す女性の精神分析的精神療法を通して

第3部 米国における精神分析の訓練

  • 第9章 米国における精神科臨床と精神分析
  • 第10章 米国における精神分析的精神療法
  • 第11章 ホワイト研究所における精神分析訓練

おわりに

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