池田暁史,相田信男,藤山直樹 編

力動精神医学のすすめ
狩野力八郎著作集2

A5判 348頁 定価(本体5,400円+税) 2019年11月刊




ISBN978-4-7724-1732-7

「患者の人生はその人にとってかけがえのないものである。不要なものは何一つない。力動精神療法においてそれを自己と呼ぶのであるが,私たちは本当には自己を知らないという限界を自覚している。私たちにできることは,ひたすら患者の本当の自己をなぞっていくことである。……」
「精神療法は,患者が自分の内面を治療者に投影し,治療者はそれについて共感的に理解することが基本である。共感的とは相手の身になる,つまり一時的に患者に同一化して患者を理解する,という非常に困難な作業である。しかも,患者の話を聞く場合には中立的な態度が大切で,患者の話している意識レベルではなく,精神療法家は無意識的なレベルのものも理解しようとしなければならない。」
(本文より)

……狩野は人を育てるのが実に上手であったと思う。狩野は目の前の教え子の力を見極め,その人のいまの実力ではやや難しいけれど少し努力を重ね研鑽をつめば達成可能な課題を設定するという教育者としての才に恵まれていた。そして一度課題を与えたなら,信じて任す人でもあった。……(解題より)

本書は,狩野が生前に発表し,その後,書籍にまとめられることがないままになっていた各種論考を集めたものである。2分冊となっており,1は『精神分析になじむ』として刊行済みである。合わせて手に取っていただきたい。

おもな目次

まえがき(相田信男)
第W部 力動精神療法ことはじめ

  • 第1章 力動精神療法のエッセンス
  • 第2章 力動的・分析的精神療法
  • 第3章 精神療法の教育・研修
  • 第4章 精神療法の治療機序について
  • 第5章 医療を受ける心理と医原神経症
  • 第6章 身体表現性障害が疑われる患者の医療面接
  • 第7章 神経症の発症機制―対象関係論から

第X部 パーソナリティ障害再考

  • 第1章 分裂病型人格障害と分裂病質
  • 第2章 自己愛性パーソナリティ障害とはどういう障害か
  • 第3章 今日の人格障害と家族
  • 第4章 神経症水準の人格障害の精神療法
  • 第5章 重症人格障害の治療
  • 第6章 人格障害の診断と治療
  • 第7章 抑うつ状態を示す人格障害へのアプローチ―A-T splitの活用

第Y部 メンタライゼーションの導入

  • 第1章 メンタライゼーションあれこれ
  • 第2章 自分になる過程―青年期における自己愛脆弱性と無力感
  • 第3章 青年期人格障害の臨床
  • 第4章 私の家族療法―治療構造論的家族療法とメンタライジング

第IV部 個人療法を越えて

  • 第1章 必須の臨床手順としての家族・夫婦面接
  • 第2章 家族関係のアセスメント
  • 第3章 家族の視点からみた「不適切な養育」へのかかわり
  • 第4章 患者とともに家族の歴史を生きる
  • 第5章 集団療法の基礎―治癒要因・集団力動・技法
  • 第6章 スタッフへの攻撃と治療的対応
  • 第7章 チームはどこにでもある―チーム医療・援助の生命力

解題(池田暁史)
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