反省堂書店

精神療法第36巻第5号 特集:難治性うつ病
2010年10月発行
★5つ

■2010年10月発行 <特集:難治性うつ病:見立てと精神療法的取り組み> 近年,マスコミによってメランコリー親和型性格の破綻では説明できないうつ病が,「新型うつ病」の名称で取り上げられるようになってきた。精神科の外来では,1990年以降,神経症性うつ病の症例が増加し,「未熟型うつ病」「現代型うつ病」「ディスチミア型うつ病」などと命名されている(傳田健三・佐藤祐基)。そして本特集で取り上げられている「難治性うつ病」の範囲は広く,常識的な薬物療法と精神療法を行っても治療効果の上がらないうつ病を指す。ところで,本特集で扱われている難治性うつ病の「うつ病」とは,DSMの大うつ病エピソードではなく,伝統的記述精神医学の内因性うつ病や神経症性(心因性)うつ病を指している。うつ病は過去には予後のよい疾患とされていたが,疫学データが蓄積されるにつれて慢性化したり再発したりする症例が多いことがわかってきた。うつ病の人はすべて,程度の差こそあれ内因性の背景を持っている(大野裕)。ただし支持的な対応と少量の薬物療法で生活水準が保たれる症例を除けば,神経症性うつ病のほぼ全例が治療困難例といってよい(津田均)。また,思春期・青年期のうつ病は,自傷行為や摂食障害,あるいは双極性障害を伴いやすい。よってこの発達段階の患者の診断はより慎重でなくてはならない。(守屋直樹)。さらにこの発達段階の患者の鑑別診断では,発達障害も視野に入れる必要がある(傳田健三・佐藤祐基)。