『臨床心理学』増刊第4号

事例で学ぶ臨床心理アセスメント入門

B5判 224頁 定価(本体2,400円+税) 2012年8月刊


ISBN978-4-7724-1269-8

 臨床心理アセスメントは,予定調和ではないクライエントとの偶発的・即興的な関係のなかで進み,同時にそれ自体が対人援助活動となる心理支援究極の「技」である。

 『臨床心理学』増刊第4号「臨床心理アセスメント」特集は,3人の心理臨床家によるアセスメント試論が交わされる第1部「座談会・今求められる臨床心理アセスメント」にひきつづき,第2部「総論・臨床心理アセスメントを学ぶ」では,アセスメントの要諦となる項目を主軸として「アセスメントの私的方法論」が展開される。そして第3〜5部「事例で学ぶ臨床心理アセスメント」では,主訴が必ずしも明確ではないところから始まるアセスメントとはどのようなものなのか,その具体的な実像が示されていく。とりわけ第3〜5部では,冒頭に「概論」としてライフステージに沿ったアセスメントの要点を解説したうえで,以下,個別具体的な事例を通じて解説を進めていく形式を採っている。つづく第6部「臨床心理アセスメントと新たな課題」は,ライフステージに一対一対応するものではなく,むしろ今日のアセスメントを考える上で欠かせない普遍的な論点を解説する最終部となる。

 ベテラン臨床家の経験と知識の結晶ともいえるケーススタディを通じて,クライエントの「主訴」の背景にある課題が明らかになる臨場感を体感しながら,心理アセスメントを理解するためのヒントを初学者からベテラン臨床家までの幅広い読者に提供する一冊。

おもな目次

Ⅰ 座談会|今求められる臨床心理アセスメント 村瀬嘉代子・津川律子・下山晴彦

Ⅱ 総論|臨床心理アセスメントを学ぶ

    心理臨床におけるアセスメントを考える 青木省三・三浦恭子・吉武亜紀・月田美佳。原田まき・和迩健太・村上伸治・山田了士
    よみとりの視点,伝える工夫―臨床心理アセスメント私論 伊藤直文
    臨床心理アセスメントを学ぶ 下山晴彦
    臨床心理アセスメントを学ぶ―心理アセスメントに関する基本的な覚え書き 津川律子・福田由利
    アセスメントと仮説 村瀬嘉代子

Ⅲ 事例で学ぶ臨床心理アセスメント@―乳幼児期・児童期

    こころの発達に寄り添う子どもの臨床心理アセスメント 徳田仁子
    ケース|発達障害が疑われる子どもと親との出会い 田中康雄
    ケース|聴覚障害とその影響が疑われる事例 河負タ子
    ケース|虐待を受けた子ども,愛着の構築に課題をもつ子どもの総合的アセスメント―児童福祉施設で暮らす社会的養護児童に焦点を絞って 増沢 高
    ケース|フォーマルなアセスメントと子どもの理解の間で 青島多津子
    ケース|小児科医によるアセスメント 氏家 武

Ⅳ 事例で学ぶ臨床心理アセスメントA―思春期・青年期

    思春期・青年期の臨床心理アセスメント―親子関係と家族力動 古宮 昇
    ケース|不登校事例をどう見立てるのか 岩宮恵子
    ケース|自傷行為が疑われる事例 門本 泉
    ケース|非行を繰り返す事例 橋本和明
    ケース|性の悩みに直面した事例 花村温子
    ケース|キャリア相談の背景に潜むものを見落としてはならない 高塚雄介

Ⅴ 事例で学ぶ臨床心理アセスメントB―成人期・老年期

    成人期から老年期のクライアントを理解するための臨床心理アセスメント―「多因子性」と「連続性」の視点から 松田 修
    ケース|夫婦間不和が認められる事例 中釜洋子
    ケース|高次脳機能障害が疑われる事例 風間雅江
    ケース|認知症の徴候がみられる事例 元永拓郎・尾中航介
    ケース|病とともに生きる人の事例 小池眞規子

Ⅵ 臨床心理アセスメントと新たな課題

    論 説|存在の意味を問いはじめた事例―自殺念慮のアセスメント 早川東作
    論 説|アディクションのアセスメント 松本俊彦
    論 説|本人不在の事例のアセスメント 平木典子
    論 説|クライエントの生活状態の総合的アセスメント 石川雅子
    論 説|「組織」のアセスメント―組織をクライエントとして見立てる「組織臨床」という考え方 廣川 進

編集後記 村瀬嘉代子・津川律子