熊谷晋一郎責任編集/綾屋紗月,上岡陽江,松 丈編

『臨床心理学』増刊第11号
当事者研究をはじめよう

B5判 200頁 定価(本体2,400円+税) 2019年8月刊


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ISBN978-4-7724-1715-0

 浦河べてるの家から始まり、ダルク女性ハウス、「おとえもじて」をはじめとするさまざまなフィールドで展開されていった当事者研究を一望した、『臨床心理学』増刊第9号「みんなの当事者研究」(2017年)。当事者研究が批判的に継承する専門性をその源流である当事者運動や自助グループに特定しつつ、当事者研究と他の専門知との共同創造の可能性を探究した、『臨床心理学』増刊第10号「当事者研究と専門知――生き延びるための知の再配置」(2018年)。「当事者研究三部作」の棹尾を飾る『臨床心理学』増刊第11号は「当事者研究をはじめよう」と題して、これから当事者研究をはじめるひとのための実践的な「知恵と方法」を展開する。
 つねに立ち返るべき参照点としての「当事者研究の理念・歴史」から、当事者研究グループを立ち上げ維持する「インフラ整備」のためのアイデアの継承、ファシリテーション、コメント、フィードバック、情報公開のメソッドを解説する「当事者研究実践レポート」、専門家との共同研究を上手に運営していくための注意事項、そして実践のためのツールとお役立ち情報までを総展望する。先達から継承されてきた知恵をスプリングボードにして、当事者研究のネクストステップまでを予見する、今日からはじめる明日のための当事者研究!

おもな目次

1−序論|当事者研究の実践

  • 当事者研究をはじめよう/熊谷晋一郎

2−当事者研究の理念・歴史――つねに立ち返るべき参照点

  • 当事者研究が受け継ぐべき歴史と理念/綾屋紗月
  • ダルク女性ハウスの当事者研究―多重スティグマを超える「記憶の共有化」/上岡陽江
  • 強迫的・排他的な理想としての〈強い障害者像〉――介助者との関係における「私」の体験から/油田優衣

3−当事者研究グループの立ち上げと維持――ゼロからはじめるインフラ整備

  • 座談会|情報保障の普遍化――クロスディスアビリティのために/綾屋紗月+上岡陽江+松 丈+廣川麻子
  • グループが生まれる――恨みとコーヒーカップ/秋元恵一郎
  • グループを始める・続ける――場所・資金・仲間づくり/井上浩美
  • 対談|メディアと公開性――当事者がメディアを活用するために知っておきたいこと/荻上チキ+細見明日子
  • グループをつなぐ――縦の系譜と横のつながり/倉田めば
  • 自己理解ソリューションのco-design/大畑真輝+熊谷晋一郎
  • ウェブ空間の活用――当事者の創造性を花咲かせるバーチャル空間/池上英子

4−当事者研究の実践――ここからはじめる実践メソッド

  • 当事者研究を体験しよう!――ワークシートを用いた実践/綾屋紗月
  • 当事者研究ワークシート実践報告A――ダルクにおける実践/綾屋紗月+熊谷晋一郎+上岡陽江
  • 当事者研究ワークシート実践報告A――聴覚障害当事者研究における実践/松 丈
  • 当事者研究の公開――記録・まとめ・発表の仕方について/伊藤知之

5−専門家と上手につきあうために

  • 全米障害と技術の作業部会とインクルーシブ駆動型開発モデル/スコット・クッファーマン
  • 専門家からアドバイスを受ける「正しい」方法――当事者研究とスーパーヴィジョン/宮本眞巳+上岡陽江+熊谷晋一郎
  • 専門家によるカウンセリングを利用する――タイミング・ポジショニング・コラボレーション/信田さよ子

6−当事者研究実践のためのツールとお役立ち情報

  • ワークシート/リソースガイド/ブックガイド/熊谷晋一郎

7−結論

  • 当事者研究のネクストステップ/熊谷晋一郎