成田善弘著

改訂増補青年期境界例

オンデマンド版

A5判 210頁 定価(本体4,600円+税) 2013年10月刊


ISBN978-4-7724-9005-4

 治療困難な境界例患者への精神療法の要諦を懇切に説いた本書初版は,読者の支持を得て版を重ねたが,この度,待望の改訂増補版を刊行することとなった。
 今回の改訂にあたり,最近関心を呼んでいる外傷説を含む近年の諸研究を付し,境界例研究の動向を概観できるようにした。さらに,近年みられる探究と支持の統合への試みを紹介し,著者の精神療法的見解を明らかにしている。全編を通して多くの事例を挿入し,臨床場面で遭遇する困難な状況への治療原則,基本的心構え,著者が日々行っている面接のこつや工夫がわかりやすく解説される。これらの技法はすべて著者自身の臨床経験から帰納的に導き出されたものである。
 子どもから大人への移行期としての青年期が延長され,境界例という診断は近年さらに増えている。境界例はまさにわれわれの時代の疾患であり重要な問題である。初心者から経験者まで心の臨床に携わるすべての人々に。

おもな目次

    第一章 境界例の現在

      境界例の概念
      境界例の増加
      精神療法家と境界例

    第二章 症例の検討

      症例ヨシオ
      一般的印象の諸相
      治療経過の検討

    第三章 構造的・力動的特徴

      「裏返し」の病理
      行動化型の病理
      「他者変容型」の病理
      内界の外界への滲出
      体験の全体性の未完成
      体験の融合性の過剰
      二者関係の肥大

    第四章 患者からの贈り物

      医師・患者関係と贈り物
      贈り物の意味――文献的考察
      贈り物と無意識的空想の実演――症例の検討――

    第五章 精神療法「覚え書き」

      出会い
      行動化に対して
      感情の言語化について
      患者の感情と治療者の感情
      面接内容と治療関係
      holdingということ
      初心の治療者の抱く気持とその変遷
      「裏返し」にならないために
      統合への試み