笠原敏彦著

対人恐怖と社会不安障害(POD版)
診断と治療の指針

A5判 210頁 定価(本体4,500円+税) 2013年11月刊


ISBN978-4-7724-9008-5

 対人恐怖は,神経症レベルにとどまるものから,統合失調症やうつ病,さらには人格障害との関連を考えるべきものまで極めて多様な病態である。長い間,対人恐怖は,日本特有の病態であると考えられてきたが,1980年以降,欧米の診断基準(DSM,ICD)に社会恐怖,社会不安障害という概念が登場し,海外での事例や国際間での比較研究も数多く報告されるようになった。そして,現在問題となっている「ひきこもり」との関連により,社会不安障害,対人恐怖という病態は,個人や家族的要因だけでなく,社会病理的な視点からも注目を集めている。
 本書は,長年「対人恐怖」の治療に携わってきた著者が自らの臨床的研究の成果を集大成したものである。多彩な病態を呈する対人恐怖,社会不安障害の概念と診断を整理し,多くの症例をまじえながら,治療面接の進め方,薬物療法のコツが詳しく解説されている。対人恐怖症患者の援助に携わる精神保健専門職には卓越した治療ガイドラインであり,またこの病態に悩んで普通の日常生活を送れなくなっている当事者やその家族にとっても恰好の指導書といえよう。

おもな目次

      序論:変容する社会と青年期心性

    第Ⅰ部 概念と診断

      第1章 対人恐怖の概念と臨床像
      第2章 対人恐怖から社会恐怖へ
      第3章 社会不安障害(SAD)の概念および定義
      第4章 対人恐怖と不安――ひきこもりの病理
      第5章 醜形恐怖の病理とひきこもり――発達心理学的考察

    第Ⅱ部 治療の進め方

      第6章 対人恐怖の外来精神療法――治療のポイント
      第7章 対人恐怖の外来薬物療法――症例を中心に

    第Ⅲ部 臨床の実際

      第8章 中年サラリーマンにみられる会議恐怖について
      第9章 思春期にみられる神経性頻尿――対人恐怖との類似について
      第10章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(1)――症状の特徴と発病状況について
      第11章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(2)――精神療法が奏功した1症例
      第12章 対人恐怖の後に統合失調症を発症した症例(3)――非定型群について
      第13章 「自己の発する音」に悩む症例
      第14章 独語妄想の臨床的特徴――統合失調症の症例