安永 浩著

精神科医のものの考え方
私の臨床経験から

A5判 232頁 定価(本体4,800円+税) 2015年6月刊


ISBN978-4-7724-9021-4

 完成度の高い独創的な「ファントム空間論」で知られる著者の臨床論文集。
 著者の理論をわかりやすく述べた「ファントム空間論入門」ともいうべきいくつかの諸論文と,「臨床は現場の技術である」という著者の持論が反映された臨床エッセイまで,目の前の現実(患者)から出発し,現場から生まれてきた明晰な知見が集められている。
 「ファントム空間論」というすぐれた理論装置を用いて,著者の思考対象は驚くほどの広がりを見せる。正常人の体験世界を律している根本原則があれば,それをひっくり返した形が精神病者の体験世界ではないか,という精神医学に確固たる根拠を与えるパターン仮説から,人間が実生活において認識を整理し,心の健康を保ち続けるのに役立つ汎用性のある考え方を提示する。
 また,「受容と解釈」,「共感」「転移」「中心気質的交流」,「治療者の姿勢覚」といった精神療法の基本技術として重要な項目についても平易な解説がなされており,心の臨床家にとって多くの示唆を与えるであろう。

おもな目次

    1.精神療法総論の諸問題
    2.境界例の治療
    3.「精神の空間」から
    4.精神療法と哲学
    5.解釈と言語
    6.分裂病について患者と家族にどう話すか
    7.精神療法の本質――五つのテーマに触発されて
    8.0.S.ウォーコップの次世代への寄与――「パターン」「パターン逆転」「ファントム空間論」
    9.カルテ開示の時代における精神科医
    10.夏・随想――中心気質幻想
    11.“失敗”をめぐって
    12.社会変容――いくつかの物思い
    13.「家族」寸感
    14.「暗黙知」(M.ポラニー)をめぐって
    15.強迫性障害をめぐって
    16.[対談]因果論と合理主義――パターン逆転とは何か
    17.[エッセイ]折々の思い
    18.[エッセイ]私と読書――『小学生全集』のこと