森 さち子著

症例で子どもの心理療法 POD版
情緒的通いあいを求めて

A5判/190頁/定価(本体3,200円+税) 2015年11月刊


ISBN978-4-7724-9028-3

 セラピストは,クライエントとなる子どもと出会うときに,どんなことを考え,どんなことを感じるのだろうか。
 本書は,5年間におよぶ,ある少年との心理療法のプロセスを治療者とクライエントの心の通いあいを軸に克明にたどったものである。言葉による表現力を持たない子どもとの面接においては,言葉を越えて感じられる交流が大きな意味を持っている。精神分析的心理療法を治療基盤とする著者は,アンナ・フロイト,クライン,スターン,ウィニコット,ストロロウらの理論と技法を援用しつつ,日常臨床における具体的な知見をわかりやすく解説している。本書を読むことによって読者は,精神分析的心理療法と遊戯療法の基本を身につけられるとともに,クライエント・セラピスト関係における情動の相互作用という考察から,一つの観点にとらわれない本質的な感覚,学派を越えた普遍的な心理療法の治療機序についても理解を深めることができる。
 子どもの心理療法における治療構造を明らかにし,セラピストの基本的な態度と技法を学ぶための懇切丁寧な臨床指導書である。

おもな目次

序 章 出会いまで―子どもを迎える準備
第1章 心理的に安全な空間づくり―初回面接
第2章 心の通いあいの芽ばえ―週1回の心理療法開始
第3章 臨床的理解と方針―発達的観点に基づいたアセスメント
第4章 心理療法の展開―関係性の中に読みとる心の流れ
第5章 二人の間のストーリー―分離と再会
第6章 不在・喪失をめぐる情緒の交流―突然の終結に向かって
終 章 心理療法の外の状況―そして,心理療法のその後