森岡正芳編

ナラティヴと心理療法 POD版

四六判 270頁 定価(本体3,800円+税) 2018年7月刊



ISBN978-4-7724-9036-8

 人はバラバラな現実を生きる存在であり,その現実を人の中でうつすのがナラティヴである。本書は,そうした裾野の広い概念であるナラティヴを臨床心理学の観点を中心にして,故河合隼雄によるユング派的な物語論から思想的最前線にある構成主義まで多岐にわたる論著を集めたものである。
 臨床心理学の実践領域の広がり,研究方法の多様性に連動するようにして,ナラティヴアプローチの現在は多様である。また,ナラティヴは心理療法に共通する要因であるばかりか,「臨床」と目される多くの行為のなかに共通する要因と言ってよい。たとえて言えば,痛みがただあるわけではなく,痛みを物語るなかに痛みがあるのである。
 本書は,『臨床心理学』誌上において好評を博した連続講座を一書にまとめたものである。ナラティヴという考え方をどう捉え,いかに日常の心理臨床に取り入れるか。多くの臨床心理を学ぶものにとって格好の一冊となるだろう。

おもな目次

序 章 今なぜナラティヴ?―大きな物語・小さな物語:森岡 正芳
第1章 ナラティヴ・セラピー:セラピーの最前線:高橋 規子
第2章 物語の知・臨床の知―夢の物語:河合 隼雄
第3章 体験という物語:体験的心理療法の新しい展開:諸富 祥彦
第4章 精神分析における物語モデル:妙木 浩之
第5章 描画とナラティブ―絵が語るもの:田中 勝博
第6章 NBM:病を書く:岸本 寛史
第7章 認知の修正から意味の転換、そして語りの複雑性へ―プラグマティズムの思想を交えて:菅村 玄二
第8章 研究としてのライフストーリー法:山口 智子
第9章 物語を生きる子どもたち:遊び・ドラマ:山上 雅子
第10章 アイデンティティの語り―フェミニスト・マイノリティ・異文化:川浦佐知子
第11章 回想法と内観:村瀬嘉代子・高山 充代
第12章 心理療法は、何処から来て何処に行くのか:下山 晴彦
終 章 物語の構成力:森岡 正芳