大野 裕著

精神医療・診断の手引き 電子書籍版
DSM-Vはなぜ作られ、DSM-5はなぜ批判されたか

四六版 190頁 本体2,100円 2014年12月配信 


 精神科診断は、DSMというマニュアルに頼るのではなく「症状をじっくりと観察する」ことが第一である。
当たり前のことだが、それが忘れ去られようとしている。
 「病名を付ければよい、そして、それに基づいて薬を処方すればよい」という風潮が強まったのは、DSM-Vが導入されてからだ、と批判的に言う人がいるが、著者はそうではない、と考える。
 そこには現代精神医学が抱える問題がある。
 DSM-Vが「必要」になった背景とその後の展開、そして、DSM-5の作成をめぐっての「批判」を紹介しながら、著者の精神医療論を語る。

おもな目次

序文:第18代目中村勘三郎の体験
第1部 DSM-Vはなぜ必要とされたか

    治療のための診断とは
    診断の不一致
    医療保険と精神科医療
    精神医学の医学化とDSM-V
    信頼性の向上と多軸診断
    DSM-Wの登場

第2部 DSMと過剰診断・過剰治療

    過剰診断・過剰治療
    Disorderの訳語をめぐる議論
    うつ病の多様化が意味すること
    新型うつ病にみる問題
    双極U型障害
    双極性障害および関連障害群
    性機能障害と予防拘禁

第3部 DSM-5の失敗が教えること

    DSM-5の概要とDSM-Wからの変更点
    DSM-5が目指したパラダイム・シフトと挫折
    DSMの秘密主義
    DSMと経済問題
    DMDDと小児の双極性障害
    生物学的な指標の導入
    RDoC
    ディメンションかカテゴリーか
    予防概念導入のための必要条件
    臨床家の判断への回帰
    死別反応は病気か
    DSM-5と症例の概念化
    治療関係の基礎を作る診断面接

第4部 今後の精神医療への展望

    こころの健康を実現する環境
    薬に頼らない治療を考えるとは?
    裁判に負けた名門の精神療法専門病院Chestnut Lodge
    地域との連携の重要性
    宮城県女川町での実践とその後の広がり
    精神療法の有効性とは
    人とITとの協働
    iCBTの活用の実際

おわりに