村瀬嘉代子著

心理療法家の気づきと想像 電子書籍版
生活を視野に入れた心理臨床

四六判 280頁 定価(本体2,600円+税) 2016年7月刊 



 「心理的援助とは、他者の生きる上での痛みや苦しみがあることによって、必要とされている……」(本書より)。
 こころがかかわる課題は、社会の変容を反映してますます多様化、複雑な問題を引き起こしている。心理援助職の仕事の重要性が高まりつつある現在、セラピストにはバランス感覚を持った対処能力が要請されているといえよう。
 本書においては、臨床家としての著者の「プロフェッショナル論」が全編に亘って展開される。村瀬の方法は、臨床現場の事実から帰納法的に導き出され形成されたものであり、このうえもなく現実的、実践的に洗練されたものである。それが「統合的心理療法」であり、クライエントと援助者を繋ぐ、クライエントの内的現実と外的現実を繋ぐ、またさまざまな理論と技法をクライエントの状態に応じて活かす意味での統合、といった多面的な内容を含んでいる。
収載された著者最新の論考を読むことで、心理療法面接の理論と技術、原則と治療のプロセスを学ぶうえでの多くの有益な知見が得られるであろう。

おもな目次

序に代えて―対人援助とは

心理療法の過程―生きられた時間を求めて
生活を視野に入れた心理療法―生活モデルの実践に求められること
臨床場面における気づきと想像―焦点と多焦点化、普遍と個別
アセスメントと仮説
テストとしての木、表現としての木
[コラム]多軸、多焦点、そして統合

子どもと事実を分かちあうことと生きること
こころの糧としての子ども時代
社会的養護における家族支援
虐待を受けた子どもの生活を支える
描画とコミュニケーション
[コラム]母性の多面性と可塑性

発達障害の臨床的意義
「発達障害」に出会って自らを問う
罪を抱えて生きるということ
コラボレーションとしての心理的援助
社会からの臨床心理学への期待
統合的アプローチと認知行動療法―生活臨床と認知行動療法
統合的心理療法との対話――「生活」とエビデンス
[コラム]老いと「生きられた時間」