雑誌へ「臨床心理学」の期待

田嶌 誠一(九州大学)

 臨床心理士やそれを支える基盤としての臨床心理学がこれほど社会的に注目を集めている時代はなく,今まさに臨床心理士または臨床心理学がさまざまな社会的要請にどれだけ応えうるかということが問われている。
 私たちはすでに学会誌として「心理臨床学研究」を持っているが,こうした時代にあって果たして学会誌のみで十分なのだろうか。学会誌というものは,その性格上いわゆる「オリジナリティ」や「学問的意義」というものが問われるため,現場で有用な論文(私自身はそういう論文こそ本当は臨床的オリジナル性が高く学問的意義も高いと思っているのだが)が高く評価されるとは限らない。したがって,現場のそして社会の要請に応えうる,職業と直結した学問としての臨床心理学の構築のためには学会誌とは性格の異なる雑誌がさらに必要なのではないかと私は思う。私自身はこの「臨床心理学」誌になによりも現場感覚あふれる論文の掲載を望みたいし,そのためにも大いに冒険できる編集体制を望みたい。
「心理臨床学研究」と補いあって,社会にそして個人に真に必要とされる,職業と直結した学問としての「臨床心理学」の確立のために。