横断的研究発表の場としての役割

鑪 幹八郎(京都文教大学)

 この度,金剛出版から研究雑誌「臨床心理学」が出版されることになりました。そしてその編集のお手伝いができることを大変喜ばしく思っています。臨床心理学はわが国においてようやく社会的に有用な学問として認められ,多くの若い人々が社会的な援助や貢献を志して勉強しようとしています。これまでこころの問題を扱う学会として心理臨床学会や多くの専門学会がありました。こころの専門家は今やわが国において社会のあらゆる領域において1万名をはるかに越えて活躍しています。しかし,関係者が多くなることをただ喜んでばかりはいられません。こころの問題を扱う仕事はよほどの訓練と技術を身につけていないと,援助者の一人よがりになったり,善意の押し付けになって,相手を傷つけたりすることがないとは言えないからです。また,技術は常に公開され,多くの人に確実なものとして認知されねばなりません。
 このような時に,新しい研究雑誌「臨床心理学」が発行されることは時宜を得て有意義です。大いに切磋琢磨して,この雑誌が各学会の横断的な研究発表の場としての役割を担い,わが国の臨床心理学の水準を押し上げるために貢献することを期待しています。