心理臨床家のための心理臨床家による雑誌として

氏原 寛(元大阪市立大学)

 今回「臨床心理学誌」が創刊される事になった。心理臨床学会の会員数が1万人を越え,臨床心理士の数も6,000人になっていることを思えば,こうした心理臨床家のための雑誌が,学界誌とは別の形で発刊されるのはむしろ遅きに失した感さえある。何よりも,心理臨床家が読みたくなるような雑誌を,ということを編集委員の一人として心掛けていきたいと思っている。
 従来,専門的な雑誌はややもすればツンドク的になり,啓蒙的な雑誌は若干安きに流れる傾向があった。いろいろ理由はあろうが,心理臨床家の側の問題意識に“問題”があったのかもしれない。だから各雑誌の編集に携わる人たちにも,読者の関心を絞りきれぬうらみがあったか,と思う。ようやく機が熟し,なお暗中模索の感は残っているにしろ,心理臨床家のための心理臨床家による雑誌を創ることができるようになったのだと思いたい。責任の重大さを思うと同時に,読者の方たちの期待に応えたいと思う。